住民税の年金天引きは恵庭にとって必要か
住民税の年金天引きは恵庭にとって必要か
恵庭市議会、第3回定例会初日の今日は、 市長の行政報告、 教育長の教育行政報告、 そして議案の審議が行われました。 議案は月曜日の議会運営委員会で決定した通り、そのまま議決されたものと、委員会に付託され審議されるものにわかれます。 今日の議案の中で、実際に採決になったものは議案第10号の「平成20年度恵庭市一般会計補正予算案」だけでした。 ちなみにこの議案も、一昨日の議運では少々問題視され、委員会付託となりそうな気配もありましたが、10月15日までに議決されないと困るということで(委員会付託となると最終日の再審議となるのが通例)、そのまま採決となりました。 結果は賛成18:反対5という圧倒的多数で可決されたのですが、私は非常に問題があると考え、反対の討論を行いました。 簡単に言うと、来年の10月から住民税の年金天引きを始めます。 このためには多額のシステム改修費がかかりますが、これは一部税理士会などの意向を受けた国(総務省)の方針であって、そのメリットは大都市などが多く受けるものです。 ほとんどの人には、何のありがたみも感じないことに、新たな公共事業ともいえるシステム開発費が投じられます。 少なくても、天引き制度を含めて、十分な議論が尽くされなくてはなりません。 詳しい資料はこちらをご覧下さい。 討論の内容は以下です。 -- 平成20年恵庭市一般会計補正予算案 総務費、エルタックス導入経費 反対討論 08.9.24 柏野大介 私は、今回上程されました議案第10号「平成20年度恵庭市一般会計補正予算案」のうち総務費、エルタックス導入経費に反対の立場から討論を行います。 反対する理由は以下の4点です。 1.地方分権の時代にふさわしいか 住民税の特別徴収についてエルタックスを利用するかどうかは自治体が独自に判断すれば済むことです。今後、給与支払報告書の電子化にあたって、参加する自治体が少ないと、企業側にも導入のメリットが少ないということで、全市町村に参加をさせたいようですが、そうした意図であれば、交付税措置ということではなく、国が国の費用負担においてインフラとしてのシステムを整備するべきことです。 地方交付税の削減を進める一方で、自治体に義務的な事務を課するということでは、地方分権への逆行であり、当初のエルタックス立ち上げ時点の考え方とは整合性がとれません。 2.かかる費用に対しての効果が不十分 納税者にとって利便性が高いものを目指していくことは必要ですが、それにかける経費の検討も必要です。将来利便性があがる可能性がある、ということだけをもって、将来の費用負担を、今決定することはできません。 電子化協議会はパンチコストの軽減を言っておりますが、現状では紙と電子双方に対応するため、事務作業は増える一方であり、これがすべて行われたとしても、かけた費用に見合うものではありません。 そもそも電子申請の費用対効果が上がらないのは、単にこれまでの紙ベースでの手続きを電子化すれば済むというような考えに基づいた国の電子化施策の誤りにあります。むしろ自治体が独自に事務フローを書き換えるくらいの変革を行うのでなければ、費用対効果は上がりません。 3.負担と便益の関係です。 要望をしているのは、一部の大企業や、税理士会であって、広く個人の納税者が求めているものではありません。 給与支払い報告書の電子化による削減コストの試算でも、自治体の125億円に対して、企業側1600億円とする試算もあります。社会全体のコスト削減は必要なことですが、今の電子化は一部の企業優遇策でしかなく、そのためのインフラ整備は自治体に丸投げしている状況です。 7月11日に開催された自治体職員向けの説明会で出た質疑を見ても、自治体が求めていないことはあきらかです。市民や職員に代わって、そうした声を上げることができるのも、議会の役割ではないでしょうか。 4.天引き制度の周知不足です。 電子化協議会によると、2月の確定申告、6月の特別徴収通知に合わせて広報を行うということですが、政府はこれだけで十分とは言えません。 政府は本年4月より導入した、後期高齢者医療制度の保険料を年金から天引きする制度にしても、自動引き落としを利用する場合には、天引きによらないことも可能にいたしましたが、新総裁は制度自体の廃止にも言及しており、制度が迷走する中では、国民の理解が得られず大きな問題をはらむものです。 以上4点の理由により、「個人住民税の公的年金からの特別徴収制度導入のために」エルタックスを導入することによって恵庭市民が得られるメリットよりもその導入によるデメリットのほうが大きく、現時点において、エルタックスを導入すべきではありません。 以上、反対の討論といたします。
決算審査特別委員会
決算審査特別委員会
昨日の本会議終了後、決算審査特別委員会が開かれ、委員長などの選任と資料要求などが行われました。 会議資料はこちら(pdf、1.1MB) 委員長には野沢宏紀委員、 副委員長には伊藤雅暢委員が選ばれました。 資料要求に関しては、例年行政側からもらっている資料の他、田中匡四郎委員から工事入札の契約金額130万円以上のリスト、周辺他市の商工会議所への補助金額一覧が要求されました。 周辺他市の資料に関しては、予算の適正な執行を審議する過程に直接寄与するものではないことから見送り、入札関係は130万円以上となると資料が増える(と言ってもほんの8ページですが)ことと一覧を見たことによってどう審議が深められるのかが不明という理由で、全体の一致を見ず、資料要求には上りませんでした。 川股委員から要求されたRBパークの決算資料は必要性が認められました。 10月2日と3日が款ごとに行う細かい質疑で、14日と15日が会派を代表して行うまとめの質疑です。 「事業仕分け」同様、政策目的のために予算が効果的につかわれているのかをチェックするのが決算審査です。ぜひまちづくり委員の方たちや多くの市民の方にも傍聴をしていただければと思います。 委員はPDFにある通りですが、以下の11名です。 清和会:川股さん、大野さん、伊藤さん、谷川さん、田中芳憲さん、鷹羽さん 公明党:野沢さん 民主・春風の会:前佛さん、柏野 共産党:寺田さん 無所属・市民の会:田中匡四郎さん
議会運営委員会
議会運営委員会
第3回定例会の日程が、議会運営委員会で決定しました。 議会運営委員会、議案(pdf、1.1MB) 第3回定例会に提出された各会派からの意見書案(2.5MB) 議論の結果は、議案PDFの3枚目に記載の通りです。 議案第4号「えにわ・花子さん愛情寄付条例」の制定、 議案第6号「北海道市町村備荒資金組合規約」の変更 が総務文教常任委員会に付託され審議されます。 今回提出されている「駐車場条例の一部改正」によって、現在は無料で使用されている恵み野高架下東側と西側の駐車場が有料となります。 これは以前からの駐車場整備計画でも有料化の前提にたって整備が進められてきました。パチンコ屋さんのほうだけが有料になっていましたので、これで整合性が取れることになります。 補正予算の中で1点問題があると思っている「エルタックスの導入経費」。 この春に問題になった後期高齢者医療制度と同じように、来年の10月からは住民税が天引きとなります。 6月の議会でも私は市税条例の改正に反対をしましたが、今回あきらかになった必要経費を見ても、やはりこれは市民の利益にはつながらないと判断していますので、反対いたします。 議論を深めるための「補正予算特別委員会」の設置も言及されましたが、「初日に議決をしないと業務に支障が出る?」ということで、初日に採決を行うこととなりました。 支障が出るのであれば、審議のための十分な期間をあらかじめ考えて議案を提案すればよいのであって、議会が行政に配慮をして十分に審議を行わないというのでは、本末転倒です。
一般質問通告書
一般質問通告書
一般質問の通告書です。(pdf、4.1MB) https://kashiwano.info/b/pdf/08.9.19tsukoku.pdf -- 9月26日、29日、30日が一般質問で、私は29日の3番目(16時過ぎを予定)です。 今回は質問は3点、 1)長期的な施設管理計画について 2)第2和光小学校の新設・分離について 3)し尿処理手数料について です。 1点目、新しい小学校を建設するときに心配されるのは、他の施設とのバランスです。 これは小学校だけに限った話ではありませんし、当然これまでにも考慮されてきてよかったことです。 必要な施設を必要な期間使う。 そして、その役目を果たしたものは、ある時期に廃止という選択もあるでしょう。そのためにはまずは全体像の把握が必要です。 2点目、市長の姿勢が変わらないようなので、少ししつこいですが小学校の話です。 3点目は、し尿処理の手数料について。 ごみ減量のための有料化が検討されていますが、実はし尿の処理量は増えています。 ごみに比べると少ないとはいえ、その収集運搬には1600万円、処理には2200万円ものお金がかかっています。 今の料金は事業者も一般家庭もそのうち収集運搬経費だけの部分です。 一般家庭は別にしても、見直しの必要性があると私は考えています。 -- 一般質問よりも先の議会初日の討論原稿がまだできていませんっ! (この記事は次の記事、「議会運営委員会」に書いたものの一部を移動しました。)
9月定例会始まります
9月定例会始まります
このところブログ更新が滞っていますが、いよいよ議会が始まります。 平成20年第3回定例会、議案(8.7MB) 市長の行政報告はこちら(2.1MB) 教育行政報告はこちら(2.2MB) ネット傍聴などの際にご覧ください。
まちづくり委員会
まちづくり委員会
追加で開催された第4回目のまちづくり委員会。 本日は、小田原市の井澤さん、豊田市の伴さんが仕分け員として参加してくださいました。 残念ながらほかの都合もあって、すべての事業を傍聴することはできなかったのですが、ベテランのお二人からの非常に本質をついた指摘や、行政職員ならではの質疑が飛び、これまで以上に、緊張感のある仕分けが行われていました。 来年は実施しないことが決まっている事業など、今回の選定理由もわからない点はあるのですが、そうであっても、この4回目が行われた意義は非常に大きかったと思います。 多くの事業は、やらないよりはやったほうがいいものです。 でも行政がやれる仕事の量、そのためのお金には限界があります。 これまで増える一方だった事務事業をどこかで区切ること。それが事業仕分けです。 国や道が一律で実施させているもの。 そのひとつひとつにも明確な理由を見いだせないのであれば実施する意味はありません。前の議会で議論された住民税の年金天引きも同じことのはずです。 必須事業という位置づけ。 やらなかったときにどういうペナルティがあるのか。 全国一律だから導入するということが前提になるのではなく、どういう目的なのか、それが恵庭に必要なのか、という十分な検証が必要です。 A班の2つ目であがっていた「小中学生に対する芸術鑑賞機会の提供・充実」事業。 その事業自体は意義のあることですし、やったほうがいいことでしょう。 では、それが小中学生全体に機会の提供ができているのか。 お金をかけずにやっているからよい、というのでは効果が検証できていることにはなりません。また学校教育との連携なども委員さんからの指摘もありました。 そもそも事業の目的は。 こうした視点で、全事業に切り込めば、市全体ではかなりの事業が改善できるはずです。
和光小、児童推計見直し
和光小、児童推計見直し
和光小学校児童推計の見直しが行われ、本日その説明がありました。 以下の資料をご覧下さい(pdf、1.3MB) https://kashiwano.info/b/pdf/img079.pdf 平成18年度、19年度の実績に基づいて修正を行った結果、児童数のピークが 平成26年にずれ込んでいます。 また4月の説明会以降での方針の変更として、 不足する普通教室に対して転用する予定だった特別教室の方針が大きく変わりました。 「教育指導要綱の改正によるカリキュラム上の問題」として、家庭科室、理科室は転用しないとする一方、当初転用が難しいとしていた視聴覚室を転用することとしています。 こちらが08.4.11現在の教室不足対策です。
インターン生日記 第2期−2
インターン生日記 第2期−2
今日はインターン生、Mさんの報告です。 ーー 9月5日、今日はまちづくり委員会を傍聴しました。 まちづくり委員会というのは、恵庭市が抱えている事業の問題について議論をし、解決策を考えていくものです。 そこで、私は4つの事業についての議論を聞きました。 その中に、屋内ゲートボール場管理運営事業というものがありました。 これは、市民の心身の健康と福祉の増進を図り、恵庭市に屋内ゲートボール場を設置したが、ゲートボール競技者数の減少に伴い利用が少なくなり、また多目的利用の促進を図っていることから、老人施設としてのゲートボール場からスポーツ施設の転換について、見直しをする必要があるという内容でした。 屋内ゲートボール場施設は、冬場など季節問わずに利用できることが利点であるそうです。しかし、ゲートボール人口が減少している今では、その冬場でさえも、利用人数が20人弱だそうです。これで本当に価値があると言えるのだろうか? という質問がされ、私もこのことをとても疑問に思いました。 そして、北海道には冬、雪があるので雪にあった生活を考えればいいのであり、屋内でまでゲートボールをしなければならないのか?といった意見もありました。 私はこのゲートボール場施設は不要ではないかと考えます。やはり、多くの市民の心身の健康と福祉の増進を図ることが目的の施設だと思うので、競技者数が減少しているゲートボール場にはあまり必要性を感じません。しかし、屋内ゲートボール場は冬場の利用が一番多いということを知れば、今まで冬にゲートボールをしてきた方々がゲートボールをできなくなることを思うと、簡単に人数が少ないから廃止するとは言えないと感じました。 インターンの活動で様々な問題について考えると、自分の考えだけではなく、たくさんの人の気持ちを考え、意見を聞き物事を決めることの大切さをとても感じます。
自治体学会フォーラムinえにわ その1
自治体学会フォーラムinえにわ その1
9/6の土曜日、北海道文教大学を会場に「自治体学会フォーラムinえにわ」が開催されました。 特別講演では中島市長のお話、「逆境だからこそ、歴史に残る仕事ができる」というお話をなさっていました。 基調講演は「自治体の日常から真の地方自治を考える」と題して、前鳥取県知事の片山善博さん。 自治体の日常としてあげていた教育の問題。 教員が多忙化して、子どもたちと向き合う時間がない。 雑務から解放するためには、事務職員を強化するとか具体的な取り組みが必要。 例えば、モンスターペアレントの問題。 会社であれば、クレーマーに対応するのは一人の職員ではないはず。 しかし、学校の場合は、担任の先生の責任になってしまう。 学校の経営者である教育委員が、独自で考え、自ら行動(例えば事務職員の加配)することが必要。 事務職員の定数を増やしてくれという制度要求(雨乞い)だけでは不十分。 というようなお話でした。 ではその財源はどうするのか。 麻生さんや中島市長であれば、景気を刺激するのは役所の仕事、とおっしゃるのかもしれませんが、片山さんは、増収のための開発をしようとは言いません。 片山さんがおっしゃっていたのは、単純にハード事業をやめたということ。 当然、経常収支が赤字と言っている恵庭では、それでは不十分かもしれません。 しかし、片山さんは職員定数のお話の中でも、仕事の範囲の話もしていました。 自治体が今までかかえていた仕事をそのままやれば、お金も人材も足りません。 しっかりと見直しを行い、資源を集中させるということは、市長も当初から訴えていたはずです。 最後にあった税金のお話。これはまさに地方自治の本質的な部分だと感じました。 今年、これだけお金がかかっているから来年もこれだけかかる、というのは財政では常識かもしれません。 でも、普通の人が、来年収入が減ってしまいそうなときに、そのままの支出でいるのがあたり前だと思うでしょうか。 服を買わなかったり、外食を減らしたり、お酒を減らしたり、ここまでは恵庭市でもしてきたでしょう。 いつのまにか、忙しさを理由に、コンビニでお弁当を買うことが増えているのかもしれません(外部委託)。 お弁当がいいとか悪いとかではなく、朝のテレビの時間を30分短くすれば、お家でお弁当を作れるのかもしれません。 最低限必要な税金をお預かりし、「これを作るから、これだけ税金が必要です」という説明がきちんとできる状態。 分権時代の市町村として、それをめざしていく必要があると思います。
9.2 総務文教常任委員会
9.2 総務文教常任委員会
8/8の委員会以降の経過報告などもあるということで、総務文教常任委員会が 開催されました。   すでに新聞報道などがされているところですが、8/13のアーバンコーポレーションの民事再生手続開始の申立てがあったということの報告です。 これについて、共同企業体の代表であるアルファコートに問合せをしたところ、JVの構成員である北海道アーバンコーポレーションからは6/4付けで脱退の届けがあった。 事業着手があきらかではないため、連絡を急ぐ必要はないだろうという判断だったようです。 これに対する行政の見解は、脱退・入れ替えは可能だが、「同程度かそれ以上の開発能力が必要」とのこと。 脱退しても、同じだけの開発能力があるとは考えづらいですから、JVへの新たな参加がなければ事業の遂行能力は劣るということになるのでしょうか。 また、地権者の側では、事業者に対して土地の買収価格の提示を求めたようですが、事業者側は現状での価格提示はできないということで、プロポーザルでの開発に対しては、地権者側の合意も失われた状況です。 各委員からは様々な意見、質疑が行われておりましたが、寺田委員を除いて、ほぼ全体的な流れとしては、「プロポーザルの事業計画」にけじめをつけない限り、区画整理での開発を議論する段階にないということと、そもそも、この陳情の求めに議会が応じられるものではない(権限がない)ということです。 寺田委員は、いずれにしても今は実施する時期にはないというご意見でした。 「開発は、市民(議会)・地権者・事業者の全てがそろってはじめてうまくいく。その全てが欠けた状態で、どこに活路を見いだすのか」と大野委員が言っていました。まさにその通りだと思います。 市長の考える開発が、とてもすばらしく非のうちようのないものであるならば、あくまでも二元代表制を貫き、市民の理解を得ることに力を注いでもらいたいと思います。 市民全体に理解をしてもらおうというのであれば、委員会の答弁ひとつにしても、高校生や大学生が聞いていてもわかるものでなければならないはずです。 今の議会議論のままで、「市民が理解をしてくれるよう努める」ではまったく説得力がありません。