政治と金 money

2007/11/19

選挙公営制度

以前から非常に強い問題意識を持っております、選挙公営制度について、大変気になる記事が今日の朝日新聞に掲載されました。

以下、引用です。

選挙公費、水増し横行 ポスター代も燃料代も
2007年11月19日08時04分

 ポスターや選挙カーなどの選挙費用を公費でまかなう自治体の選挙公営制度をめぐり、議員側の不正請求が続々と発覚、住民監査請求や訴訟になっている。条例で定める公費負担の限度額が実費を大きく上回っているうえに、実費であることを裏付ける書類の添付がいらない制度のためだ。各地で改正の動きが出ている政務調査費に続き、地方政治家へのルーズな公金支出を問題視する動きはさらに広まりそうだ。

 水増しなど不正請求の疑いが今年に入って発覚したのは、東京都議選、埼玉、神奈川、岐阜の各県議選など。愛知県豊橋市議選など五つの選挙では住民監査請求が提起され、一部は住民訴訟にまで発展している。

 自治体が負担する選挙公費は、業者が候補者に代わって自治体の選挙管理委員会に請求する。水増しで浮いた費用は、公費負担の対象外のパンフレット製作や、公費負担の対象とならない車のガソリン代などに流用されていた例が目立つ。

 典型例は、04年春の岐阜県山県市議選をめぐり、今年7月に市議6人と県議らが詐欺容疑で書類送検され、5市議が辞職した事件だ。ある市議は実際には8万円で済んだポスター製作費として、上限額に近い約37万円を請求。水増し分の約29万円でポスター以外の印刷物を作り、それでも余った金を印刷業者から現金で受け取っていた疑いがもたれた。

 同様の疑惑が県議選で浮上した岐阜県では、業者が県選管に出す請求書に納品書や売上伝票の添付を義務づけることを検討している。

 選挙カーの燃料代では、東京都議選で1日に200リットル以上、埼玉県議選でも1日100リットル以上を給油したり、毎日同じ量を給油したりしたと届け出ていた候補者がいた。これらも水増しが疑われ、各自治体で公費の返還が相次いでいる。

http://www.asahi.com/national/update/1118/TKY200711180163.html


関連記事
http://www.asahi.com/national/update/1118/TKY200711180167.html

この話については、以前にもブログに書いております。
https://kashiwano.info/b/2007/07/post-66.html

あまりこれについて書くつもりはなかったのですが、お電話もいただいたりしたので、

9月にまとめた制度改正案の原稿を公開しようと思います。

ただ、ご留意願いたいことは、不適切な使い方があるからすべてなくせばよいという
ことではないと思っています。制度の本旨である、すべての人が立候補できる財政的な
保障はどこまですべきか、考えるきっかけとなれば幸いです。


公費負担条例等の改正について 2007.9.19 柏野

92年の公職選挙法改正から地方選挙においても公費負担の制度が適用されるようになりました。
選挙における公費負担の制度は、資金力によって選挙活動に差が出ることを防ぎ、立候補する人に幅広く道を開くことができる制度で、多くの自治体で採用されているものであります。

そうした目的に鑑みるならば、公費負担は、立候補(被選挙権)の公平に資するものでなくてはならず、その範囲を超えたときには、税金の無駄遣いとのそしりを免れません。

全国的に見ると、岐阜県で合併により新たにできた自治体の6つ全てが財政の悪化を理由として、公費負担条例を制定しておりません。
また千葉県いすみ市では昨年、公費負担条例廃止の直接請求が行われるなど、厳しい自治体財政を反映して、見直しが進められています。

こうした背景に基づき、
恵庭市議会議員及び恵庭市長の選挙における公費負担に関する条例、ならびに恵庭市選挙ポスター掲示場設置に関する条例の改正を提案するものであります。

提案の主旨は3点、
1.公費負担条例4条前段、(1)一般運送契約の廃止
2.4条(2)のイ燃料供給契約の上限引き下げ
3.掲示場設置条例、第2条2項、3項の掲示場の数の削減
であります。

まず一点目の問題は
第4条において定められた上限について、(1)一般運送契約(一括契約)の場合と(2)それ以外の場合で2倍以上の開きがあるということです。

4月に行われた市議選を例にとって説明してまいります。
(1)に該当する一般運送契約を結んだ候補者は27名中5名。全員が45万1500円です。一方(2)自動車借入契約は27名中21名が利用しています。車両、燃料、運転手が別々の契約となっていますが、その合計の平均は20万7632円と、一括契約の半額以下で済んでいます。

先ほど説明したように27人の候補者の中で(1)の一般運送契約(一括契約)を利用したものは5名、そのうち新人候補は1名でした。この数字からは必ずしも一括契約の制度によらずとも、立候補の公平性は保ちうるものと考えます。

2点目は一括契約ではない場合のガソリン代、燃料供給契約についてです。
現在の条例の上限額は1日あたり7350円です。これは1リットル140円で計算すると52.5リットル分に値します。

自動車借入契約の21人のうち19人が燃料代の請求をしておりますが、その平均額は総額15287円で1日あたり2184円です。
なんでも平均をとればいいというものではありませんが、公費負担として保障するものは平均的な燃費で平均的な走行距離を走る分で十分ではないかと私は考えます。

ちなみにこの平均額の1日あたり2184円を最近のガソリン価格140円で計算すると1日あたり15.6リットル。1リットルあたり7km程度しか走れないとしても100km以上走れる計算になります。19人中6人しかこの金額を超えていないことからも、被選挙権に対する公平性という観点からは十分な金額設定であるといえます。
(盤尻を含めても広ぼう(こうぼう)東西34km、南北23kmの恵庭市では十分なはず)

3点目、
ポスターに関しては公費負担ではなくポスター掲示場の設置についての提案です。
現在のポスター掲示場設置に関する条例は公職選挙法施行例第111条に規定された数をそのまま用いていますが、これをすべての投票区において1つずつ減らすものです。現状1投票区内で5カ所から9カ所、全体で145カ所ある公設掲示板が23カ所(15%)減って122カ所となります。
23カ所の掲示板に貼られる24枚のポスターで1枚あたり上限額1200円を節約できるとすると、552枚*1200円=66万2400円にもなります。これに掲示板自体の設置費用が加わりますので、全体としては100万円程度の削減が見込めます。

個人的には、選挙カーによる連呼行為の全面廃止を目指し、自動車に関わる公費の全廃を提案したいところではありますが、恵庭市の現状に鑑み、時期尚早であると考えるところであります。

市民のみなさんがその任期中の活動を含め、公選職にあるものを大いにチェックし、選挙の際の指針にしていただくことで、選挙運動のあり方に変化があらわれてくれば、将来的には廃止を検討することにもなるのかと思います。

(ポスター代ひとつにしても、デザインなども含めれば金額に大きな差が出るところではあります。
しかし、幅広く立候補の道を開くという点では、最高レベルの水準までを公費で負担するべき必要はなく、一定水準を負担した上で、残りは候補者ごとの工夫に委ねることができるものと考えます。)

(岐阜県内15番目の市となった山県市以降、合併してできた6市全市が導入を見送った。(瑞穂、本巣、飛騨、下呂、郡上市など)
04年2月にできた本巣市は、ポスター代公営制度に関する条例を市長が提案したが議会が否決。04年3月に合併した郡上市も「ポスター公営の負担は重く、市の財政は厳しくなる」として、合併協議会の時点から条例化を目指さなかった。)

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