主張 opinion

2022/12/22

選挙カーに偏重した公費負担を見直すべき

初日に提案された議案の中で、公職選挙法施行令の改正に伴う条例改正の提案がありました。

議案はこちらです。
https://www.city.eniwa.hokkaido.jp/material/files/group/2/R4_4teigian04.pdf

これまでも市議選の選挙運動に関しては、立候補の自由を確保するため(お金がなくても選挙運動で差がつかないように)、
・自動車の借入
・燃料代
・運転手雇用
・ビラ作成
・ポスター作成などに関しては、
公費で負担をしてもらえるという制度がありました。

今回は、国がその単価の「上限額」を改定したことから、その改定に合わせて、
市の条例も改正するという提案です。

国の単価改定の内容はこちら。
https://www.soumu.go.jp/main_content/000808361.pdf

国が定めているのは、あくまでも上限額であり、
公費で負担する、しないということを含めて、金額の設定を行うのは市町村です。

恵庭市でも、例えばポスターの作成経費に関しては、企画費を設定しておらず、
上限額としては国の基準を大きく下回る152,028円(1,236円×123枚)となっています。

恵庭市の現行条例はこちら。
https://www1.g-reiki.net/eniwa/reiki_honbun/a032RG00000036.html

一方で燃料費や自動車借上については、国の上限額を設定しています。

過去の恵庭市議選における公費負担の請求状況を見ると、ガソリン代については、上限額の半分以下で済んでいる方が多くいる一方、ポスター作成に関しては、17人が上限額での申請となっています。
また、このポスター作成に関しては、法律上の上限枚数は、掲示場の数の2.0倍までの枚数となっており、実際に道内の自治体でも、千歳市が1.1倍、北広島市や石狩市は1.2倍の枚数で設定します。
20190421_恵庭市議会議員選挙公費負担一覧(2019)

その結果、選挙の公費負担額は以下のように推移しています。

2019年 自動車517万円(56%)、ポスター355万円(38%)、ビラ43万円(5%)、合計916万円(25人)
2015年 自動車554万円(60%)、ポスター365万円(40%)、合計920万(26人)
2011年 自動車447万(54%)、ポスター371万(45%)、合計818万(23人)
2007年 自動車661万(59%)、ポスター454万(40%)、合計1116万(27人)

候補者数の減少に伴って、公費負担総額は減少傾向にあり、
2019年からは新たにビラの作成が認められるようになったことで、
若干自動車の割合が減少していますが、全体の中では半分以上が選挙カーの経費となっています。

一方で、2018年に早稲田大学マニフェスト研究所が行った調査によると、
地方議会選挙で参考にしたいツールとしては、選挙公報が最多の30%、以下、テレビ報道、新聞報道などが20%台、ホームページ、ネットメディアと続き、選挙カー・街頭演説は第7位、15%に満たない回答となっています。

過去に質問をした際には、選挙カーに関する苦情も増えているという答弁があり、
こうした市民のニーズも踏まえた上で、それぞれのまちに合ったものにしていく必要があります。
北見市のように面積の大きいまちであれば、上限額に近い燃料費の設定も必要でしょうが、
コンパクトな恵庭市で、実際に多くの候補者がそれほど多くのガソリンを使っていないことを考えると、
求められているのは、ガソリン代の増額ではありません。

個人的には自動車の費用は大きく減らしていいと思っていますが、
現状で多くの候補者が車を使用していることを考えると、
他の議員にも理解が得られて、恵庭市に合う形というのは、
車の費用を抑えつつ、他市と比べて不足しがちなポスターの枚数を
増やすことではないかと考えました。

私は、議案が付託された総務文教常任委員会の中で、
こうした課題について質疑を行った上で、以下の修正案を提案しました。
(ガソリン代を半分に減らし、ポスターの作成枚数の上限を1.1倍に増やす)
221204_選挙公費負担条例修正案

残念ながら、委員会での賛同は得られず、修正案は否決されました。

今後も、条例の審議においては、恵庭市に合うものとなるよう、提案を重ねていきます。

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