議会報告 report

2016/03/26

なんのための総合戦略か(地方創生加速化交付金)

最終日の議案審議。

自民党清和会と公明党議員団を除くと、それぞれが自由な立場で採決に臨んでいるので、賛否が分かれた議案はかなり多くあります。

反対は1人だけになってしまいましたが、地方創生加速化交付金事業については、ほかのまちを見ても、おかしなメニューは多くあり、恵庭でも総合戦略に載っていないのに突然出てきた台湾からの投資拡大事業には大きな違和感があります。末尾に討論原稿を貼り付けます。

・2017年4月からの消費増税中止を求める陳情書
賛成5(林議員、猪口議員、藤田議員、榎本議員、柏野)
反対15(清和会、公明党、前田議員)

・「恵庭産ビールで乾杯する条例」制定を求める陳情書
賛成15(清和会、公明党、柏野)
反対5(林議員、猪口議員、藤田議員、前田議員、榎本議員)

・平成28年度一般会計予算
賛成17(清和会、公明党、前田議員、榎本議員、柏野)
反対3(林議員、猪口議員、藤田議員)

・平成28年度国民健康保険特別会計予算
賛成19(清和会、公明党、林議員、猪口議員、前田議員、榎本議員、柏野)
反対1(藤田議員)

・平成28年度産業廃棄物特別会計予算
賛成18(清和会、公明党、藤田議員、前田議員、榎本議員、柏野)
反対2(林議員、猪口議員)

・平成27年度一般会計補正予算(第9号)※地方創生加速化交付金含む
賛成19(清和会、公明党、林議員、猪口議員、藤田議員、前田議員、榎本議員)
反対1(柏野)

「平成27年度 恵庭市一般会計補正予算(第9号)」 反対討論
16.3.25 柏野大介

 私は、ただいま報告されました議案第45号「平成27年度 恵庭市一般会計補正予算(第9号)」 について、可決すべきものとしたとする委員長報告に反対の立場から討論を行います。

 まずはじめに、地方創生関連交付金事業全体については、非常に短い期間の中で取りまとめから、交付金の申請までご苦労が多かったことだと思います。その点については、私の立場からも感謝を申し上げます。

 しかしながら、予算総額8000万円のうち1/3以上、約3000万円を占める「台湾投資家のニーズを踏まえた対恵庭投資拡大事業」の「直接投資に関する事業」については3点の大きな問題があると考えております。

 まず第1に、政策の形成過程が不透明で、非常に場当たり的なものであることです。
10月末に策定されたばかりの総合戦略にも位置付けのされていないこの事業が、最初に非公式の説明をされたのは1月です。このわずかな期間の中で何があったのでしょうか。当初は12月に台湾を訪問したことが大きなきっかけになったという説明でしたが、質疑の中であきらかになったのは、特定の有力者からの働きかけを示唆するもので、関連する観光振興計画についてもわずかに記載があった程度で、政策の形成過程、根拠としてはあまりにも不透明で、加速化交付金の要件とされている、緊急対策に資する、効果の発現性が高い事業とはとても言えるものではありません。

 第2に、地方創生関連交付金の肝であるはずのKPIが機能していないことです。
地方創生に関して、政府はかつての一括交付金を、効果の検証をともなわないバラマキと批判し、重要業績評価指標(KPI)による検証と改善により、進めていくとしました。ところが全国の先進的とされる事例をみても、このKPIの設定は費用対効果と検証可能性から考えても疑問の大きいものが数多く見られます。
 本補正予算の「台湾からの投資拡大事業」に関しては、その最終目標はホテルの誘致であるのに対し、平成33年度末の成果指標は、投資相談50件、宿泊100名、ツアー客100名というもので、途中で検証を行ったとしても、それが投資を拡大するという成果に向けて、どの程度結び付くのかはあきらかではありません。これでは、効果の検証は形だけで、単なる使い勝手の悪いバラマキの域を超えません。

 第3に、そもそもこの交付金のあり方が、地方分権への逆行であるということです。
自主性、主体性とは名ばかりで、限られた期間の中で、枠にはめられた中で形を整える。このことにどれだけの意味があるのでしょうか。地方創生の基礎交付で1400億円、上乗せの300億円、加速化交付金は、1000億円。来年度以降も先の見えない状態が続き、国のさじ加減によって、大きな税金が動き、自治体はこれに振り回されます。
 自治体間の競争を促すのはいいとしても、政府が進めようとする競争の方向性は、ふるさと納税にしても、地方創生の交付金にしても、国の顔色を伺い、中央への依存を強めるものであって、地方分権の流れとは逆行しています。本来の競争は、自治体同士の限られた奪い合いではなく、自治体が財源も含めた長期展望を描く中で、その政策の深化、豊かさを競い合うべきものです。
 委員会の質疑の中で、上限額いっぱいで採択されたことがよいことであるという趣旨の質疑もありました。
果たしてそれは本当にいいことなのでしょうか。
 私たちは憲法において、「すべて公務員は、全体の奉仕者であって、一部の奉仕者ではない」と定めています。自分たちの住む地域だけでなく、日本全体のことを考えるということであれば、こうした矛盾にあふれた交付金は受け取らないという判断をしていかなければなりません。

以上、3点の理由から、
私は、議案第45号「平成27年度 恵庭市一般会計補正予算(第9号)」について反対いたします。

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