2007/10/31
森啓先生、ご講演
昨日は「恵庭市議会の改革を考える議員懇談会」の第一回目の研修会でした。 神奈川県庁に職員として在籍した経験を持つ、北海学園の森先生にご講演をいただきました。柔らかい話しぶりの中に、ぴりりと辛口も織り交ぜて、あっという間の1時間半でした。50名近い市民の方にも足を運んでいただき、議会改革に対する同じ思いを共有できたと思います。ありがとうございます。 信頼される議員・議会となるべく、まずは報告会を実施してまいります。まずは議員、ひとりひとりが変わっていくこと。改革に終わりはありません。 以下がご講演の内容です。少し省略していますが、だいたいこんな感じ。一部私の解釈が含まれている部分があるかもしれません。 — 地域の人々から信頼され、尊敬されているために、議員・議会は勉強を重ね、信頼に値するだけの報告を続けていかねばならない。 議会で何をやっているのかが見えない。見えないから関心を持ちにくい。それで信用しろといったって難しい。選挙で選ばれた議員は、自分の声で、しっかりとやっていることを報告していく必要があるのだ。 議会では慣例、先例ということでつぶされてしまうことが多いが、本来自律的な機能を有している。 議会の仕事。1.執行部が出してくる議案を決議すること。 対立している、選挙を見越してということがなければ、否決するようなことはほとんどない。そこで実質的な審議が行われていない。審議するためには、十分に勉強をして備えなくてはいけない。そのためにどれだけ勉強をしているか。 まじめにやると、足を引っ張られてしまう。議員が大いに見聞を広めるためには、視察が必要なのは間違いない。何がよくて、何がだめなのかを(比較するための情報を得て)判断するために視察が必要。出された案件を採決し、必要があれば修正する。視察を行ったら、次の議会でそれについて報告や、それに基づいた質問をすることを条件にするとか、中身の実効性を保つ仕掛けが必要。 2.監視、チェック。 行政の各部各課が、予算の執行を行うにあたって、適切に執行が行われているか。違法なものはそんなにないが、妥当性が著しく違法に近い、かけた費用に対して、効果が十分でない。そういうことをチェックする必要がある。 これまでは中央集権型だったので、議員が立派でなくてもやってくることができた。中央政府からすべて指示がきているから。しかし、これからは地域の実情に即して考えなくてはいけない。これまでは基盤整備だけをやってくればよかった。これからのまちづくりは、それの上に乗っかるソフトだ。同じような予算規模でも行政能力や議員の能力によって差が出てきてしまう。 93年に北海道に来たときには不思議な運命だと思ったが、これからもずっと住み続けたい。妻にその話をすると、まだやることがあるの、と言われた。 今、取り組んでいることは、『無防備都市条例』。札幌市は真駒内に基地があっても未来永劫に無防備でありつづける。そのためには人口の5%3万人の署名を集めなくてはいけない。その期間が1ヶ月、 10/14までだった。結局、4万以上の署名を集めることができ、本日議会に提出してきた。 議会に対して日本のほとんどすべての人が信用していない。4年間白紙委任をされたと思っている人がいるが、4年の任期というのは、白紙委任ではない。 議員が信用されるようにするのが議会改革だ。これがすべてではない。まずは報告会でいい。何人集まるかはわからない。こういう議題に対しては、どういう態度をとったのだ。委員会で、本会議でこういう意見を出したということをしっかりと主張していく必要がある。議会で議決をしておいて、自分は反対したというような態度をとるようではいけない。 栗山の橋場議長は言ってみれば、専制開明君主。議員は若いの、年寄りを組み合わせて、自分の選挙区でないところで報告会をやらせる。そうすることで、居眠りしている議員は報告できない。だからしっかりと勉強するようになる。 来る電車で言おうかどうか迷ったことがある。あまり厳しいことをいうと、今参加している議員も困るかもしれない。 すべて改革というものは、言葉の前に当の本人が変わること。公務員だけで公務員改革をやる。外部の人を入れなくてはだめだ。その省庁をやめた人だけで審議会のメンバーが占められている。議会改革も同じこと。外の人間が必要。 議員定数削減について。議員の数を減らすのが痛みなのか。人数が少なくなると、執行部にとって扱いやすくなる。だから減らすことではなくて、今の数で中身を変えなくてはいけない。 働いて仕事を持っている人は議員になれない。定年退職でも中にはいい人もいるが、多くは年金代わりに議員をやっている。 働いている人も出られるように、土日にやればいいじゃないか。報酬じゃなくて実費にすればいい。中小規模のまちでは、今の歳費では子どもを育てることもできない。だったらみんな仕事をしながら出ればいい。普通の日に議会をやればいいのだ。 個人で解決できない公共の問題。これを解決していくのが政治。ひとつの国で解決できない国際問題。地域だけで解決できないものは、地域の枠を越えないと解決できない。都道府県、市町村が主役にならないと解決できない。 問題が3つに分かれると、政府も3つになる。世界政府?、中央政府、地方政府、 従来の考え方のままでは解決できない問題。これを解決していくために、自治基本条例を道具にしていったらどうだ。 「自治基本条例」それをネット検索かけるだけで、今自治基本条例を導入しているところが一覧で出てくる。まずは調べてみてほしい。 都道府県、市町村のことを地方公共団体とも、自治体とも言う。産經新聞ですら自治体と言っている。それでも、未だに地方公共団体と言い続けているのは、官僚だ。特権階級を維持するためには、地方は中央より劣るものとして扱わねばならない。 同じものをいうときに、どの言葉でいうのかというのが非常に重要になる。自治体と呼ぶか、地方公共団体と呼ぶか。地方公務員と呼ぶか、自治体職員と呼ぶか。 地方公務員という人は、制度がそうなっておりますからーという答弁をする。制度はそうですが、なんとかしたい、できる方法を考えるという人は自治体職員。議員も自治体議員であって地方議員ではない。 役所の仕事は統治。内務官僚は統治する。牧民官の思想。統治する人が役人、官僚であって、統治する側とされる側という明確な区分がある。自治の行政に変えるということだ。統治の下に国家をもってくる。白紙委任ではなく、きちんとコントロールする社会が自治。 行政は情報公開、市民参加、とよく言う。でも実際に情報公開をしよ
うとすると、「何に使うんですか?」という話になり、「上司に確認してまいります」となる。国民主権と言っても、内務官僚主導の政治は何も変わっていない。 これを変えるのが、自治基本条例だ。自治体の憲法のようなもの。委任ではなくて、信託しているだけ。4年間という任期を選挙で。4年間だけど強力な権限をもっている。 陳情、請願という言葉もおかしい。当選させた、権限を託したはずの側が「陳情」というお願いをしなくてはいけない。自治基本条例によって、自治体がどうやって自治を行っていくのかのルールづくりをしなくてはいけない。 キーワード【自治体学】を検索してみて。 —
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