議会報告 report
2022/12/26
市民によるごみ処理恵庭モデルを
焼却施設稼働後のごみ料金を検証するために、本年1月に、「ごみ処理恵庭モデル検討会」が設置され、議論が進んでいます。
市民生活に身近なごみに関しては、過去にも市民会議を設置し、ごみの有料化などの提言をいただいてきました。
以前の市民会議では、中立的な立場のファシリテーターによって、さまざまな意見を持つ市民の自由で闊達な議論が促進されたのに対し、今回は市としての方向性が垣間見えています。
特に産廃を含む事業系ごみについては、表面的には問いかけをするものの、市民の委員が発言するよりも先に、市外の専門家が他市の事例も交えて議論を誘導するなど、自由な議論とは言い難い状況でした。
会議録や配布資料をみても、そもそもアンケートの調査項目自体にバイアスがかかっており、回答が歪められている可能性が高いです。
例えば、ごみ処理恵庭モデル検討会の第1回目の資料ですが、こちらのP37以降に、市民意識調査の結果があります。
例えば、P38の問2では、ごみ袋の手数料について尋ねていますが、
設問の前提として、以下の文章が記載されています。
—
令和2年度では、産業廃棄物を除く、ごみ収集や施設の維持管理などで11億2千万円程度の経費がかかっています。そして、市内のごみ発生量は16,164トンとなっており、この経費をごみ量で単純に割ると、ごみ1リットルあたり10.4円程度の経費がかかっていることになります。
一方、現在市民の皆様には、各ごみ種別の処理経費の3分の1をご負担していただくこととし、「燃やせるごみ」は1リットルあたり2円(令和4年4月から3円)、「生ごみ」は2円、「燃やせないごみ」は4円、「資源物」は無料としています。
このような経費とごみ量の実情を踏まえ、あなたは指定ごみ袋の手数料は適当だと思いますか。
それぞれのごみ袋について、いずれかあてはまるものにチェックをしてください。
「燃やせるごみ」1リットルあたり3円 適当・安い・高い
「生ごみ」1リットルあたり2円 適当・安い・高い
「燃やせないごみ」1リットルあたり4円 適当・安い・高い
—
何重にも問題がありますが、ひとつずつ説明します。
・経費をごみ量で単純に割ると、1リットルあたり10.4円程度の経費がかかっています。
このことは誤りではないかもしれませんが、今の料金の設定は、経費をごみ量で単純に割るのではなく、間接経費などの経費を除外した手数料算定対象経費をごみ量で割ることとしています。
また、この11億円、16,000トンという数字は、事業系一般廃棄物を含めたものであり、家庭ごみとは料金算定の考え方も異なります。
つまり、対象外の経費を含めた10.4円という経費額は、1リットルあたり3円と比較すべきものではありません。
それなのに、上の文章のように並べると、10.4円と3円を比較してしまい、割安になっていると誤認する恐れが強くなります。
(これを「アンカリング」といいます)
それにも関わらず、63%の人は安いとは思わずに妥当と答え、
誘導をされてもなお、33.5%の人は高いと答えています。
この結果をもって、市(事務局)は市民がこの料金を受け入れていると評価していますが、前提の調査票で誘導が行われている以上、この調査結果は、公平なものと評価することはできません。
同様の誘導は随所に見られますが、特に極端なものは第3回目で配布された事業者向けアンケートです。
こちらでは、問10として、「あわせ産廃」の必要性を聞いています。
その結果としては以下の通りで、6割強が必要性を感じていると結論づけています。
・引き続き行う必要がある 33.7%
・あれば良い、助かる 29.5%
・なくても良い、困らない 3.9%
・特に必要ない 2.1%
・どちらとも言えない、分からない 30.7%
一見そのようにも見えますが、
調査の対象を見ると、令和3年度に恵庭市と「産業廃棄物及び事業系一般廃棄物処理委託契約書」を締結している事業者が調査の対象となっており、配布数821に対して、回答数は359ということです。
一方経済センサス基礎調査によると、令和元年の事業者数は2,229となっており、調査はあくまでも事業者のうち、現在恵庭市にごみを排出している事業者のみが対象となっていることがわかります。
加えて、問10では、
恵庭市では「一般廃棄物」の処理施設で「産業廃棄物」の受け入れる「あわせ産廃」を、これまで50年にわたり行ってきましたが、その必要性について、どのようにお考えですが。(原文ママ)
と聞いており、「50年にわたり行ってきた」という前提が、引き続き行うことへの誘導となっている可能性が高い質問です。
現在産廃を排出している事業者に、こうした質問を行えば、結果は容易に想像できます。
これらのように、実態の調査と称して、市が導きたい結論を誘導していることは明らかで、その調査結果だけを会議の中で説明して得た結論は、とても公正なものとは言えません。
今後、提言書の提出に向けて、議論は最終段階に入っています。
方向性としては理解できる部分が多いものの、
市民が自由に議論をして出した結論というよりは、
方向性を持って与えられた情報に導かれた結論という印象を強く持っています。
私には、まちづくり基本条例の理念はかすんで見えます。
皆様のコメントを受け付けております。