議会報告 report

2023/03/24

一般会計予算は309億円

令和5年度一般会計予算は、前年度比2.1%で過去最高となる309億6,500万円です。

 歳入は、固定資産税、たばこ税を中心とした市税の伸びに加え、地方消費税交付金の増加を見込んでいます。また、ふるさと納税が好調なことから、前年度積み立てた基金からの繰入金が大幅に増加しています。
 歳出では、ふるさと納税事業費、障がい福祉費、除雪経費、公園関連事業費、消防庁舎の改修などが増加の主なものです。

恵庭市では財政運営の基本指針にもとづいて、具体的な目標数値を設定することで、健全な財政運営を目指しています。

着実に市税収入が増えている点は評価できますが、今のところ個人市民税は、納税義務者の増加によるところが大きく、
ひとりひとりの所得が増加している状況にはありません。
産業振興や企業誘致などを進めるのであれば、個人の所得が上がるような政策が必要です。

また、ふるさと納税という寄附金の増加とふるさと納税の関連事業費増加により、予算の総額も膨らんでいます。
税収の多い都市部から、競争力のある特産品を持つ地方にお金が流れることは大きな変化ですが、
一部の特産品関連の事業者への集中が大きいことや、そもそも高額納税者にメリットが大きいことなど、
制度としての矛盾は年々大きくなっています。
(一番儲かっているのは、ふるさと納税のポータルサイトの運営事業者です。)

現行ルールのもとでは、ふるさと納税に取り組まないという選択肢はありませんが、
この制度が終わることを見据えた備えと対策の検討が必要だと思っています。

詳細はこちらの令和5年度予算(案)情報公開や、令和5年度予算の概要でご覧いただくことができます。
https://www.city.eniwa.hokkaido.jp/kurashi/shiseijoho/shinozaisei/yosan/3568.html

代表質問の内容については、別記事で書きたいと思いますが、代表質問での答弁も踏まえ、
私たち市民と歩む会は、
①重要な政策決定における市民参加の後退、
②政策の検証が不十分なことによる経常収支の悪化、
③パワハラ根絶に向けた市長の政治姿勢
を理由に、
令和5年度予算案に反対しました。

会派を代表して新岡議員から行った討論の原稿はこちらです。


「令和5年度 恵庭市一般会計予算」反対討論

私は、ただいま報告されました議案第20号「令和5年度 恵庭市一般会計予算」について、可決すべきものとしたとする委員長報告に反対の立場から討論を行います。

まず、財政運営のうち、地方債現在高の縮減や財政調整基金残高の確保については、好調なふるさと納税を活用し、安定的な運営がなされています。
ふるさと納税についても、全国的な増加傾向だけではなく、リピートが増加するよう、マーケティングの視点からも改善を重ね、寄附の増加に努めてきた結果であり、評価できます。

一方で、経常収支の改善や政策的事業充当一般財源の確保は十分とは言えず、さらにエネルギー価格の高騰などによって、昨年10月の中期財政収支見通しと比べても経常収支は悪化している点については、大きな懸念を抱くものです。
令和5年度一般会計予算について、反対する理由は以下の3点です。

①1点目は、重要な政策決定における市民の不在です。
令和4年度では、多様な市民が審議会に参加できる取り組みを新たに始めたところですが、比較的若い世代の比率が上がってはいるものの、委員の重複や女性登用率に関しては、横ばいもしくは下がっているという状況であり、改善への期待は下がっています。
パプリックコメントなどが低調なことも以前と同様ですが、その根本的な原因は、市役所内の多くの部署で市民の意見に耳を傾けようという意識が不足していることにあります。
コロナを理由として、会議を書面開催にすることはもっての他ですが、市民参加度に関しての形式的な要件を満たすことが重視され、実質的に市民に理解を促す取り組みや市民参加への姿勢はまったく不十分です。
その結果、審議会での露骨な誘導や、私的諮問機関と称した非公開での政策決定が散見されることは大きな問題です。

②2点目は、経常収支の悪化です。
ふるさと納税が好調なことを背景に、投資的な事業や大型事業を進めていますが、結果として経常収支の悪化を招いています。
以前から指摘をしてきた花の拠点「はなふる」は、指定管理者制度を導入するにも関わらず、これまでよりも赤字が拡大する見込みであり、しかも、当初の見込みが外れたことを正当化しようとする言い訳に必死です。
指定管理者を公募せずに赤字が拡大しているルルマップ自然公園ふれらんどでは、大規模な改修を予定するものの、その投資が回収できる見込みはまったく不明です。
さらには、盤尻地区にも新たな拠点整備に向けた予算が計上されていますが、これまでの観光政策から予想されるのは、ますます経常収支が悪化するのではないかという懸念です。

加えて、廃棄物処理の経費も増えています。
中小企業の育成という名目のもと、排出者負担が原則である産業廃棄物についても税負担が著しく増加し、令和3年度末に、産業廃棄物処理事業特別会計を廃止した結果として、一般会計における税負担(一般財源の持ち出し)は、1億7,800万円にもなっています。
行革による事業の見直しも十分とは言えませんが、特にこうした大きな事業での赤字が経常収支の悪化をもたらしており、予算を根本的に見直す必要があります。

③3点目は、パワハラから職員を守らない市長の姿勢です。
市長は、「職員を守る立場として、責任を感じている」とするものの、一方で、他のハラスメント行為に関する調査は拒否しています。議会によって設置された第三者委員会の意見書では、職員の実に24%が議員からのハラスメントがあると回答しています。これだけ多くの職員が被害を受けながら、職員を守るべき市長が、必要な措置を講じないのであれば、組織のトップとして安全配慮義務違反を問われてもしかたありません。
また、第3者委員会の意見書からは、密室での議会からの不当な要求に屈している状況が見て取れますが、本来の議会と行政との関係性を市長が認識し、役所内で徹底していれば、パワハラ問題は起きなかったと考えます。
どんなに素晴らしい予算を組んだとしても、その予算執行が、また圧力によって歪められるのではないかとの懸念を抱かざるを得ません。

以上のことから、財政運営については一定の評価ができるものの、
政策決定のプロセスが歪んだ現状は容認できません。
よって、議案第20号「令和5年度 恵庭市一般会計予算」について、可決すべきものと決定したとする委員長報告について、反対いたします。

皆様のコメントを受け付けております。

  1. 初めてアクセスしました。本当に市政を考えて行動されていることがよくわかりました、これからも宜しくお願いします。

  2. […]  なお、昨年の予算で指摘したことはこちらです。 1点目の市民参加に関して、女性登用率は微増、パブリックコメントについては、案件にもよりますが、事前周知を行うことなどによ […]

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