議会報告 report

2024/07/10

臨時施設に9,000万円は必要か?

定例会開会前にも書きましたが、今回の定例会では、ルルマップ自然公園ふれらんどのパークゴルフ場を廃止し、あらたに盤尻パークゴルフ場(旧花夢里パークゴルフ場の一部)を臨時施設として設けるという条例改正案が提案されておりました。

条例のつくりはやや複雑ですが、簡単にいうと、①ルルマップパークゴルフ場を廃止、②代わりに臨時で盤尻パークゴルフ場を作る、③3年をめどに見直すという内容です。

 もとはといえば、パークゴルフ人口の減少や、コロナ禍などを理由として、パークゴルフ場の利用者が減少し、パークゴルフ場をキャンプ場などに転用するという構想がまとめられました。

 構想策定以降も、市はパークゴルフやスポーツ団体の意向の確認を行いませんでした。近隣では、2020年のメイプルパークゴルフ場、2023年の千歳・リバーサイドパークゴルフ場、恵庭・花夢里パークゴルフコース、2024年の恵庭・サッポロビール、江別・角山パークランドの閉鎖など、ここ数年で、周辺自治体を含め、一斉にパークゴルフ施設の閉鎖が続いたことから、団体からルルマップの土地利用の見直しを求める陳情が市議会に提出されました。

こうした外部環境の変化は、令和4年度(2023年3月)に「ルルマップ自然公園ふれらんど施設のあり方検討会提言書」を取りまとめたときに想定した以上のものです。本来であれば、ここで立ち止まり、利用者が納得できる形での着地点を見出すべきところでした。

しかし、市は個別に陳情者と接触を図り、陳情は取り下げられることとなりました。そして今回提案されたのは、3年間の臨時施設のために9,000万円を支出するという案です。陳情を取り下げた時点で、どこまで決まっていたのかはわかりませんが、3年後に臨時施設(盤尻パークゴルフ場)が閉鎖されても、パークゴルフ愛好者のみなさんは納得されるでしょうか。

求めていたことは、一時しのぎで、閉鎖を先送りすることではなく、経費はかけずとも、長くパークゴルフを楽しめる施設を残してほしいということではなかったのでしょうか。その意味では、長く存続することが明らかではない一時的な施設にお金をかけるよりも、長く続けていくための料金見直しも含めた利用促進策などを協議・検討していくことが必要だったと思います。

委員会の質疑で明らかになったのは、初年度の経費として約2,100万円、2年目以降は約3,400万円で、3か年の支出見込みが8,900万円にものぼるということです。それに対する収入見込みは、今年度で約5,000人、2年目以降は現在のルルマップパークゴルフ場の約15,000人を上回る2万人の利用を見込み(そのうち7割が市外)、1,600万円と想定しています。3年間の収入合計が3,600万円を見込んでいるので、想定通りの収入が得られたとしても差し引きで約5,300万円の赤字となります。

管理運営は市が直営で行い、シルバー人材センターへの委託を想定しているということですが、それで本当に利用者が満足するだけの芝の管理が行えるのか。指定管理ではない形で、一旦閉鎖した施設のPRを市が自ら行って、十分な集客ができるのか、それらがうまくいかなかったときには、さらに赤字は拡大することになり、見込んだ利用者がいないとなれば、存続はさらに難しいことでしょう。

いつまで続くのかもわからないものに9,000万円を投じるのは、本当に利用者が望むものになるのでしょうか。何のためなのか、誰のためなのか、私は理解ができません。

こうしたことから、私たち市民と歩む会は、この議案第5号には反対しました。

賛成(17):自民党、公明党、民主・春風の会、太田議員

反対(3):市民と歩む会(新岡、柏野)、小林議員

賛成多数で、この議案は可決されました。

以下、反対討論の原稿です。

「恵庭市ルルマップ自然公園ふれらんど条例の一部改正」反対討論

柏野大介

 私は、ただいま報告されました議案第5号「恵庭市ルルマップ自然公園ふれらんど条例の一部改正」について、可決すべきものと決したとする委員長報告に、反対の立場から討論を行います。

 反対する理由は以下の3点です。

1点目は、恵庭市まちづくり基本条例、恵庭市スポーツ振興まちづくり条例に反していることです。

 恵庭市まちづくり基本条例は、基本原則として、市民のまちづくりへの参画機会が平等であることや情報共有市民参加の推進などを定めています。

 また、スポーツ振興まちづくり条例では、市の責務として、スポーツ環境の整備によるスポーツ振興の主体を、スポーツ振興担当部に限定せずに計画的に推進することや、スポーツ団体と協働した環境整備などを定めています。

 しかし、この間ルルマップ自然公園ふれらんどの基本構想策定時も含めて、パークゴルフに関連したスポーツ団体などに意見を聴取することもなく、その結果、ルルマップの土地利用に関して見直しを求める陳情書が提出されました。

 その後、市がオープンではない形で、個別に陳情者と接触をした結果、陳情が取り下げされたことは、委員会の答弁でも明らかになっています。ここではどのような約束が交わされたのでしょうか。

 こうした政策決定の過程は、参画機会の平等や市民との情報共有を定めたまちづくり基本条例の理念に反するものです。

2点目は、収支の改善が見通せないことです。

 委員会での答弁によれば、新たに設置する盤尻パークゴルフ場の経費として、約9,000万円という金額が示されています。これに対して、見込む収入は3,600万円であり、今のルルマップパークゴルフ場における利用者を上回る2万人の利用があっても、3年間で5,000万円以上の赤字が発生する想定です。

 これに対し、コロナ前の令和元年度決算におけるルルマップ自然公園ふれらんどに対する指定管理料はわずか600万円ほどであり、むしろ優先すべきは、これまで非公募としてきた指定管理者の選定に競争性を発揮させ、効果的で効率的な運営を目指すことです。

 これまで市は、指定管理者を公募とせず、効果・効率の改善に真剣に取り組んでこなかったにも関わらず、改修に要する費用も不明なまま、さらにパークゴルフでの収支が悪化する見通しでは、どう考えても賛成することはできません。

3点目は、設置目的達成の見通しが明らかでないことです。

 委員会の質疑では、パークゴルフ場転用後の導入機能や事業者選定、運営手法、スケジュールについても一切示されておらず、施設の設置目的である「幅広い世代の交流及び農村と都市の交流を促進、地域の特性を生かした観光の推進、地域の振興及び活性化」がどのように達成されるのかは明らかではありません。

 二元代表制は白紙委任ではありません。実現可能性の低い計画どころか、そもそも計画も示されない段階で、パークゴルフ場の廃止を先行して議決することは市民の利益とはなりえません。

 以上のことから、この度の条例改正を行えば、経費が大きく増えることだけが明らかで、その後施設がどう改善され、どのように地域の振興が実現するのかは一切明らかになっておらず、またその過程においては、市民の意見はまったく反映されていません。

 まちづくり基本条例に反するこのような議案に賛成することは、議会にとっての自らの役割を放棄するものです。

 今後の計画策定に向けては、より少ない経費で、持続可能なパークゴルフ環境を整えられることを期待し、反対の討論とします。

皆様のコメントを受け付けております。

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