議会報告 report

2024/12/17

墓園特会の廃止は市民の負担拡大に

初日の議案審議では、墓園事業特別会計、駐車場事業特別会計を廃止する議案が提案されました。

駐車場事業特別会計については、平成19年から進められた駐車場の有料化に際して、設備投資などに必要な費用を駐車場使用料で賄うべく、経理の適正化のために設けられました。

今年度から、指定管理者制度が導入され、独立採算制としたことから、今後費用は発生せず、特別会計としての必要性がなくなりました。

墓園事業特別会計については、第3墓園の造成に合わせて平成15年に設置され、墓園の使用料や管理料を財源として運営をしてきたところです。近年、墓所に対する考え方が大きく変わり、新規の貸付件数減少によって、特別会計としては収支不足に陥り、基金からの繰入れによって維持してきました。

数年前から、令和7年頃には基金が枯渇する見込みということでしたが、必要な見直しは行われないまま、市民以外にも墓所の貸付を行うことで、問題の先送りをしてきたところです。

ここへきて、基金の枯渇が現実のものとなり、特別会計を廃止して、今後は一般会計(一般財源)で墓園管理に要する経費を支出するという方針が示されました。

私は今から7年前の平成29年(2017年)第4回定例会で、「墓地の設置及び管理条例の一部改正」に反対しました。
このときの主な改正内容は、第4墓園の料金を規定したことと、第4墓園では市外在住者への貸付を可能としました。

当時反対をした理由は主に3点でした。

①墓地需要の見込みが不十分(過大な需要予測)
②市民以外に拡大した場合の将来負担の見通しが不明確
③地域の理解

今となっては、まさに当時の予想があたってしまい、過剰な墓所需要を見込んだ計画は大きく崩れることとなりました。しかも、市民以外への貸付を認める一方で、費用算定については、50年間の管理費用を見込んだ設定となっており、もともと50年後には恵庭市民の負担で管理していくこととなっていました。

今回特別会計を廃止して、一般会計で赤字を埋めることとなれば、50年後どころか、来年から、市民以外のために税を投入することになってしまいます。しかも料金を設定した平成29年と比べると墓園の指定管理料に含まれる経費も大きく高騰しています。それなのに料金が改定されていないということは、すでに負担は発生しているということになります。

まずは需要予測の誤りを総括し、計画を見直すことが必要です。
加えて、税を投入するということであれば、本来受け入れる必要のない市民以外については、対象から除くか、適正な(物価高騰も含めた100%の)管理費用を徴収できる仕組みにしなければなりません。

こうしたことを行わないまま、特別会計を廃止することは、歯止めのない市民負担の拡大に他なりません。

以上のことから、反対討論を行い、墓園事業特別会計の廃止には反対しました。

採決の結果は、
賛成17(自民党、公明党、民主・春風の会、太田議員)
反対3(小林議員、新岡議員、柏野)
となりました。

以下、反対討論の原稿ですが、実際の発言では、質疑への答弁を踏まえて一部修正しています。

「恵庭市特別会計条例及び恵庭市基金条例の一部改正」反対討論

24/11/25

 私は、ただいま提案されました議案第2号「恵庭市特別会計条例及び恵庭市基金条例の一部改正」について、反対の立場から討論を行います。

 反対する理由は以下の2点です。

①第1の理由は、墓地需要の変化、見込みの誤りについて、適切な総括がされていないことです。

 第4墓園の需要見込みについて、平成29年第4回定例会の厚生消防常任委員会の中では、大阪府方式で、将来の墓地需要を推計し、20年で3,600カ所の需要が見込まれるということの説明がされております。しかしながら、大阪府方式は、死亡者数が増え続ける限り必要となる墓地は増えるという考え方であり、現実を的確に反映しているとは言えません。

 当時からそのように指摘をしておりましたが、あらためてその推計の誤りが明らかになっているにも関わらず、その誤りについては適切な総括が行われていません。

 需要の見込みを誤った要因を分析しないままに、目先の対応を行うことは、根本的な問題解決を先送りするもので、今後も収支の改善は見込めません。

(平成29年と状況は変わっていない。むしろ、墓所の返還は増加傾向にあるのではないか。

需要予測の誤りを覆い隠すものであり、安易に認めるわけにはいかない。)

②第2の理由は、将来の市民負担の増加につながることです。

 質疑でも明らかになったように、市外居住者の墓地使用料は現行の「使用料手数料の設定基準」に則っておらず、間接経費や将来の管理費用など、すべての経費を賄えているわけではありません。

また市外居住者について、特に条件や制限を設けておらず、結果として市外居住者の比率が高まることで、本来市民のために使われるべき財源が、市民以外のために使われることにつながります。

 一度貸付を行った墓所は、容易に動かすことができません。将来にわたって、本来必要のなかった市民負担が生じうることとなり、認めることはできません。

 まず行うべきは、市内に住所を有する人以外にも無条件で使用を認めている現在の運用を改め、適切な需要予測に基づく、計画の変更を行うことです。

 その上で、例えば今後第4墓園北側を墓園として使用しないという方針が確定したときに、初めてその整備に要した起債を一般会計が負担するという理屈も通るものと考えます。

 以上のことから、現時点では、特別会計を廃止するための、前提が整っておらず、こうした課題に対応しないまま、安易に特別会計を廃止することは、本来一般会計が負担する必要のない経費に対する一般財源負担の上限を取り払うものです。

 過去の誤った判断、失敗のつけを将来の市民に負わせるものであり、断じて容認することはできません。

 以上の理由から、議案第2号「恵庭市特別会計条例及び恵庭市基金条例の一部改正」について、反対するもの。

 ぜひ前田議員には、平成29年の採決との一貫性を期待し、平成29年の採決に参加をされていない議員には、過去の判断の誤りを正す意味でも、反対の意思表示をいただけるようお願いをし、反対の討論といたします

皆様のコメントを受け付けております。

記事に投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください