議会報告 report

議会報告
2024.04.08
駐車場にも指定管理者制度導入
恵庭市では、公共施設のうち、13施設で指定管理者制度を導入しています。令和6年度から、新たに市営駐車場でも指定管理者を導入することとなり、公募が行われていました。今までは3〜5年の指定期間でしたが、駐車場は10年間にわたり、指定管理者による運営となります。
私からは、今回指定管理者候補者の公募を行なったことによって、具体的に期待できる効果がどうなるのか、指定期間を10年にしなければいけなかった理由など、以下の3点について、質疑をしました。
1 指定管理者制度導入の効果
地方自治法第244の2 第3項は、公の施設の設置の目的を効果的に達成するため必要があると認めるときは、条例の定めるところにより、指定管理者に管理を行わせることができる、としている。(1)市民サービスの向上(2)業務の効率化(3)管理・運営経費の削減昨年6月の委員会資料では、これら3つの効果が期待できるという説明だったが、それぞれ具体的な効果は。
(令和5年6月21日 厚生消防常任委員会 資料NO.1 市営駐車場・駐輪場の指定管理者制度の導入について)
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2 指定期間を10年とした理由
過去の指定管理では、初回は3年、2回目以降は5年としていたきたところだが、今回初回から10年とした理由は何か。
3 法的不備
恵庭市自転車等駐車場条例では6か所の自転車等駐車場(駐輪場のこと)が書かれているが、今回の指定管理者の指定については、9か所の駐輪場があがっている。 これは地方自治法、第244条の2 第1項、第3項、第4項の規定からすると、条例に定めのない3つの駐輪場については、指定管理者が行う業務の範囲その他必要な事項が定められていないことになり、法的に不備があるのではないか。
これに対する答弁は以下の通りです。
>1 指定管理者制度導入の効果
(1)市民サービスの向上 6箇所の駐車場、恵み野高架下東(定期専用)以外、すべてキャッシュレス決済を導入する。これまで定期券の更新は市役所の窓口で現金対応のみだったが、定期券更新機を恵み野、恵庭、島松に設置することによって、市役所に来庁しなくても、定期券の更新ができるようになる。 駐輪場の利用は、高校生が多かった。学校へ訪問して定期利用の受付をしていた。これまでの方式に加えて、ウェブ予約が可能になる。
(2)業務の効率化 キャッシュレス決済などのサービスにより、市の窓口の業務がなくなる。それらの報告について、システムを使うことによって、事務軽減が図られる。
(3)管理・運営経費の削減 指定管理者導入にあたり、直営の場合との指定管理者導入の経費比較を行なった。 直営で行なった場合、老朽化した機器の更新もある。収入については、R4下半期、R5上半期で推移するものと考えている。歳入5100万程度。歳出、機器設備、起債の償還などで約5500万程度。 (指定管理者制度の導入によって)差し引き480万程度の軽減が見込まれる。加えて、指定管理者の提案。黒字となった場合に、黒字額の15%を納付するという提案があった。合計、約7100万円程度の削減効果。
>2 指定期間を10年とした理由
通常、3〜5年だが、特別な事情がある場合には任意の期間を設定できる。今回は、業務仕様の中で、機器設備の導入を求めている。機器の更新に多額の費用が見込まれる。サウンディング調査を実施した他、個別聞き取りを実施した。耐用年数は、概ね5〜6年だが、適切にメンテナンスをすれば10年くらいは使えるということで、十分な回収期間を見込んで、長期とした。
>3 法的不備
条例で規定しなければならないという規定がある。 本案における島松西、サッポロビール庭園駅の市の用地に仮設置した駐輪場は条例で定めていないところだが、本市の指定管理者制度運用の指針、運用の手引きにおいて、公の施設の定義を公共用財産の規定が地方自治法の定義に即しているといった観点から、公共用財産を公の施設の対象としている。したがって、市有地に仮駐車場として設置した、これらの利用状況の把握や整理などの管理については、条例で定める駐車場、駐輪場に包含されているものと考えている。
駐車場で指定管理者制度を導入することによる市民サービスの向上や財政的な効果は理解ができるところです。ただ、指定期間の設定にあたって、サウンディングとは別に、個別に事業者に接触を図り聞き取りした結果に基づいたこと、地方自治法の規定に基づく条例の定めにない施設を指定管理の対象と含めることについては問題があると思います。
サウンディング型市場調査は、一定の条件のもとに、事前に事業者の意見を聞く手続きで、4事業者から意見聴取を行なったにも関わらず、委員会では報告されていない個別の聞き取りによって、公募の要件が変更されるとすれば、特定の事業者に有利になるなど、恣意的な結果となる恐れがあります。
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私は、サウンディングから公募に至る手続きの不透明さと、指定管理の対象となる公の施設が条例で規定されていない法的不備の2点から、議案第12号には反対しました。
この議案は、賛成17(自民党、公明党、民主春風の会、太田議員)、反対3(新岡議員、小林議員、柏野)で可決されました。
ネット中継は、こちらで、議案第12号については、1:45:28〜2:07:33です。
https://www.kensakusystem.jp/eniwa-vod/video/R06/R060215-1.html
7月からは、駐車場と駐輪場の管理を合わせて、指定管理者が行うこととなります。お気づきの点があれば、柏野までお知らせください。

議会報告
2024.04.07
小学校4校でエアコンを先行整備
初日と最終日の議案審議では、総額約24億7,500万円の補正予算が提案されました。補正額が大きかったものなど主な事業は以下の通りです。
ふるさと納税による積立金8億8,298万円道路橋梁等の補修費(※国庫補助)4億8,038万円小学校エアコン整備(4校)(※国庫補助)4億682万円中学校改修工事(恵明中、恵み野中)(※国庫補助)1億9,840万円認定子ども園の公定価格改定1億1,531万円非課税世帯への支援金9,475万円緊急貯水槽整備7,480万円市営住宅長寿命化改修(※国庫補助)5,961万円柏陽団地解体事業(※国庫補助)5,485万円障がい者給付費の増額4,483万円農業振興・外国人技能実習生サポート、スマート農業、燃料・肥料高騰対策等1,324万円障がい者総合相談支援事業の過年度分消費税883万円特別支援児童保育補助金の増額698万円畜産・飼料高騰対策支援204万円骨髄バンクドナー助成金の増額36万円
前回までの議会では、小中学校に各2教室分のエアコン設置費が措置され、当面の対応として、小学校1〜4年生の教室にスポットクーラーを設置したところです。今回、国の補助事業の追加採択により、財源の見通しがついたことから、小学校4校分(和光、若草、恵み野、恵み野旭)のエアコン整備費が補正されました。設計などに時間を要することから、工事は令和6年の夏以降となる見込みで、残り4校(恵庭、柏、島松、松恵)と中学校については、補助採択の調整状況にもよりますが、令和6年度から3か年で工事を進め、令和9年の夏までに整備を終える予定です。
道路橋梁補修費など、(※国庫補助)の記載があるものは、国庫補助の追加採択により、前倒しで予算をつけた上で、令和6年度に繰り越して事業を行います。
農業振興対策事業の内訳は、以下のとおりです。①外国人受入サポート 制度拡充による対象者の増 50万円②スマート農業 普及拡大による対象者の増 180万円③施設園芸生産基盤緊急支援 ハウス栽培における燃料価格の高騰、暑さ対策 569万円④肥料高騰対策 肥料価格の高騰対策、北海道の支援に協調 525万円
骨髄バンクドナー助成については、初年度でしたが、当初の想定では2件分の予算でしたが、予算を上回る申請があり、増額の補正をしています。今後さらに制度が浸透していくことを期待します。

議会報告
2024.04.02
令和6年度予算過去最高を更新
令和6年度一般会計予算は、前年度を2.7%上回り、過去最高を更新する317億9,500万円です。(図1) 令和元年以降、コロナ対策などで国から臨時的な交付金などが増加し、当初予算と決算では大きな乖離が見られるようになっています。
図1 恵庭市一般会計予算決算の推移
歳入では、市税が過去最高の約88億円を見込んでいます。このうち、個人市民税は約33億円(定額減税を考慮せず)と過去最高水準ですが、直近10年間で納税義務者数が約31,000人から約36,000人と増加したことの影響が大きいです。もっとも大きな変化としては、やはりふるさと納税で、寄附金は変動要素が大きいため、わずかにしか計上していませんが、前々年度までにいただいた寄附を「繰入金」として計上しています。平成30年の時点では9億円ほどだったものが、令和6年度予算では33億円ということで、非常に大きな金額となっています。その結果、全体では、平成30年度と比べて約2割増となっています。(図2)
図2 恵庭市歳入予算の推移
歳出では、障がい児給付費や児童手当等の増加によって民生費が、市民会館の耐震改修事業等によって教育費が、ごみの収集運搬費の増加などによって衛生費が、前年度と比べて増加しています。総務費も大きく増加していますが、平成30年度と令和3年度では、会計年度任用職員の人件費分(約7億)の影響が大きく、令和3年度と令和6年度では、ふるさと納税の関連事業費の影響(約8億)とDXなどシステム関連経費(約3億)などが増加の要因です。 「その他」には、議会費(約2億1,400万円)、労働費(約2,400万円)、農林費(約4億6,500万円)、商工費(約4億6,600万円)などが含まれています。
図3 恵庭市目的別歳出予算の推移
私たち市民と歩む会は、昨年の予算審査以降、指摘してきた事項についても一定の改善が見られることから、①地域コミュニティの再生に向けた取組、②基金の活用による市民ニーズへの積極的な対応、③外的変化への対応とバランスを評価し、令和6年度一般会計予算に賛成しました。
なお、昨年の予算で指摘したことはこちらです。 1点目の市民参加に関して、女性登用率は微増、パブリックコメントについては、案件にもよりますが、事前周知を行うことなどにより、前年度と比較するとかなり増加しています。市民参加に対する市役所の意識ということでは、まだまだ十分ではないと感じることもありますが、数字で評価できる部分では改善されていることも事実です。
2点目の経常収支については、花の拠点の赤字などについては大きな変化はありませんが、北海道文教大学との連携による地域創造研究センターの協力を得て、地域産業連関表の作成と活用などに取り組んでいるところです。産業連関表の活用が進むことは、根拠に基づく政策決定が推進されることにもつながり、これまでのような数字の裏付けのない観光投資から脱却することが可能になります。
外部環境の変化に対応していく上で、こうした変化は小さいものではありますが、重要なものと捉えています。

議会報告
2024.04.02
かしわのレポート52号記事リンク
かしわのレポート52号の詳細記事へのリンクページです。
随時更新、追加していきます。
①一般会計予算は317億円
②小学校4校でエアコンを先行整備(4/7更新)
③駐車場にも指定管理者制度導入(4/8更新)
④将来にわたって美しい街を(4/10更新)
⑤片耳難聴児にも助成拡大を(4/12更新)
⑥障がい者の現状把握は十分か(4/18更新)
⑦オンライン委員会が可能に(4/17更新)

議会報告
2024.01.22
個人住民税均等割のみ世帯への10万円給付を決定
本日、令和6年第1回定例会が開催されました。
審議された議案は2件です。
1 市営住宅恵央団地PFI建替事業の事業契約の締結について
2 令和5年度恵庭市一般会計補正予算(第7号)
市営住宅恵央団地PFI建替事業の事業契約の締結については、総務文教常任委員会に付託となり、継続審査となりました。
12月の委員会でも優先交渉権者の決定については報告があったところで、その際には、あまり細かい質疑はありませんでした。PFIで長期にわたる事業ではあり重要性については理解できますが、今回も質疑が一切なく継続審査となったため、どういう意図での継続審査なのかはよくわかりません。
PFI事業の事業者選定結果についてはこちらです。https://www.city.eniwa.hokkaido.jp/soshikikarasagasu/kikakushinkoubu/machiseibi/shieijyutaku/16511.html
私からは、補正予算の中の「物価高騰対応定額減税一体支援事業」について質疑をしました。
国からの情報提供に問題があると思うのですが、昨年12月の議会で議決をした後に、国からは「住民税均等割のみ課税」の世帯に対しても10万円を給付するということを決定しました。https://www.chisou.go.jp/tiiki/rinjikoufukin/juutenshien/1_2_1215jimurenn.pdf
恵庭市としては、「推奨メニュー枠」(物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金)を活用し、独自に「住民税均等割のみ課税」の世帯に対して3万円を給付することを決定していたため、合計すると13万円の給付となります。
「住民税非課税」の世帯に対しては、8月以降に3万円を給付し、12月に決定した7万円の給付を合わせて10万円です。それよりも所得の多い「住民税均等割のみ課税」の世帯が12月と今回の給付を合わせて13万円となります。しかし、さらに所得の多い「住民税所得割額1万円以下」の世帯には、2万円しか給付がされません。
国としては、定額減税を行い、段階的に給付を行う考えですが、こちらでも示しているように、単身世帯で給与収入のみの場合、140万円ほどの収入でも所得割が1万円を超えるケースが想定されます。
https://kashiwano.info/article-4856.html
その場合に、定額減税分として3万円が給付をされても、扶養家族や子どもがいる場合と比べて、物価やエネルギー価格の高騰の影響があまりにも大きいと思います。
今回、国が示しているのは、すでに「住民税均等割のみ課税」の世帯に給付を行っている場合など、財源を組み替えて、低所得者向けの給付事業に活用できるとされています。
今回は難しいとしても、単身世帯や子どものいない世帯で、物価高騰の影響が大きい世帯などに、対象を拡大するような事業が、国の政策を補完する取り組みとして求められているのではないでしょうか。

議会報告
2023.12.25
地域経済につながる観光振興を
(12/25(月)22:28 詳細記事、更新)
今回の一般質問では、観光振興と障がい者虐待の防止などをテーマに質問しました。
2018(H30)2019(R1)2020(R2)2021(R3)2022(R4)入込客数(千人)1,356千人1,390千人1,264千人1,452千人2,010千人市内宿泊客4,300人4,300人1,500人1,800人2,000人宿泊延数7,300泊8,800泊2,600泊3,100泊3,600泊部長答弁?7,332人2,510人3,017人3,679人観光消費額58億円
恵庭市観光振興計画では、観光振興の基本理念として・恵庭の認知度の向上・交流人口の拡大・経済波及効果の拡大(観光消費額の向上)を掲げています。
第2期恵庭市観光振興計画(改訂版)https://www.city.eniwa.hokkaido.jp/kurashi/shiseijoho/shinokakushukeikaku/machizukuri_kanko/4/4604.html
計画当初の観光消費額は、「北海道観光入込客数調査報告書」の観光消費単価に、恵庭の入込客数を乗じて算出していました。2014(平成26)年時点では、(入込)133.3万人×(消費単価)4,100円=(観光消費額)約55億円という計算です。
この4,100円という消費単価が実態と乖離しているのではないかと言っていたところ、令和元年度に行った「観光施策調査」に基づき、実態に合わせて見直しを行ったという説明ですが、目標としている2025(令和7)年度の観光消費額は約62億円で入込客数は150万人であることから、目標単価は4,133円と、見直し前の消費単価とほとんど変わっていません。
一般質問の中では、その積算内訳についても聞いているのですが、飲食店で1,500円、イベントで500〜1,500円というような答弁で、どう積み上げたら4,100円になり、60億円になるのかはよくわかりませんでした。私としては、宿泊者を増やす取り組みによって、消費単価を上げることが重要だと考えているのですが、2014(平成26)年をピークに宿泊者数も減少し続けています。新たにホテルができたにも関わらず、「コロナによって」宿泊者が減少したということなので、これではいくら入込客数が増えても、観光消費額の伸びは期待できません。
恵庭市観光振興計画の基本理念は、恵庭ならではの「花のまちづくり」の特長を生かし、人づくりと観光振興を一体的に推進ということや、市民や地域と来訪者の交流を深めるということであり、特に民泊と親和性が高いと思っています。
宿泊施設が少ないことを逆手にとって、民泊の推進を行うことは、観光消費額を増やすことや、直接、市民の所得増にもつながることであり、効果は大きいと考えています。
一方、観光関連では、現在ルルマップ自然公園ふれらんどのリニューアルや、盤尻地区観光まちづくりなど大きな投資を要する構想が示されています。花の拠点「はなふる」でも当初の見込みが大きく外れ、多額の赤字が生じています。この上でさらに観光事業に投資を行うということであれば、的確な実態把握を行った上で、現実的な投資回収が見込めるのかということを見極めていく必要があります。
少なくとも、現状の積算は実態から大きく乖離していると言わざるを得ませんし、盤尻地区の民間事業者の動向も含め、慎重な判断が求められていると思います。
(参考資料)
・北海道観光入り込み客数調査報告書(R4 本編・R4 資料編)https://www.pref.hokkaido.lg.jp/kz/kkd/irikomi.html
・北海道 民泊の手引き(北海道民泊ポータルサイト)https://www.pref.hokkaido.lg.jp/kz/kkd/minpaku/notification.html
・恵庭市運動・スポーツ推進計画https://www.city.eniwa.hokkaido.jp/soshikikarasagasu/hokenhukushibu/kenkosportska/shinokakushukeikaku/1/1/1339.html
・令和5年6月22日 経済建設常任委員会 資料NO8 恵庭市ルルマップ自然公園ふれらんど基本構想(案)について
No.08_恵庭市ルルマップ自然公園ふれらんど基本構想(案)についてダウンロード
・令和5年6月22日 経済建設常任委員会 資料NO7 盤尻地区観光まちづくり事業化構想(案)について
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議会報告
2023.12.24
事業ごみの陳情を全会一致で可決
(12/24(日)23:05 詳細記事、更新)
恵庭市では、令和2年からの焼却施設の稼働を踏まえ、令和7年度以降の手数料改定に向けた料金の検証作業を進めてきました。市民を交えた検討会での議論を経て、今年度は、廃棄物減量等推進審議会で、ごみ処理手数料の改定案をまとめています。9月から10月にかけて、市民意見の公募手続きを行ったところ、事業系廃棄物を中心に多くの意見が寄せられました。
また、市議会に対しても、恵庭商工会議所から、事業系廃棄物の改定単価の見直し、または緩和措置を求める陳情書が提出されました。
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付託された厚生消防常任委員会では、・手数料に対する事業者の受容度・近隣との均衡・過度な負担などに関する質疑がありました。
私たちの会派は、この委員会の委員がいないため、私が委員外議員として出席し、質疑を行いました。市民検討会による提言書の中では、「過度な税負担にならないこと」とされていますが、今回の手数料算定にあたって、対象経費から除外することとしたイニシャルコストは、家庭系、事業系、産廃全て合わせて3億7,000万円ということでした。環境省の一般廃棄物処理有料化の手引きでは、「市町村において処理する場合でも、廃棄物の処理に係る原価相当の料金を徴収することが望ましい。」とされていますが、本来事業系一般廃棄物や産業廃棄物は排出者が負担するべきとされている経費の一部をすでに税で負担しています。それに加えて、事業系一般廃棄物については、2010年から処理経費の2/3を手数料として徴収することとしてきており、つまり1/3を事業者支援のためという名目で減免(税負担)しています。この額が今回の試算では約5,800万円とされています。これは2010年の有料化当初と比較して、3〜4倍に増加しており、すでにかなりの税負担が生じているとも言えます。
また、質疑の中では、事業者1者あたりの負担額については算出していないということでした。今回の料金改定では、単価が30%近い改定となっていますが、前回2020(令和2)年に料金を大幅改定した際には、ごみの発生量が30%以上も減少しました。
仮に、ごみ量が令和4年比で20%削減することができれば、事業系ごみ全体としての料金負担額は+3%にとどまり、同じく30%削減することができれば、全体としての負担額は−10%となります。つまり、個別に見たときには、これを契機にさらなるごみ削減を進めていただくことにより、負担増とはならない可能性もあります。
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ごみの有料化以降、家庭系、事業系、いずれもごみは大きく減少しており、算定方法を変えない限り、大幅な料金引き上げは避けられません。その点で、一般廃棄物(事業系も含め)について、算定方法を見直し、イニシャルコストを算定経費から除外することで料金抑制を図ったことは評価しています(蛇足ながら、産業廃棄物については、イニシャルコストは除外すべきではないと考えています)。
しかし、そのことによって、ごみ処理に要する税負担は増加しています。私は、以前から述べているように、一律の料金減免ではなく、ごみの減量を推進する取り組みに対して、助成や支援を行っていくことが望ましいと考えています。これまでの取り組みが不十分だった場合に、どうしても時間を要するということであれば、できるだけ短期間の緩和措置をとった上で、ごみの減量に対する動機付けをさらに高める方策が必要だと思います。
以上のような理由から、今回の陳情については、賛成という結論となり、陳情は、全会一致で可決されました。

議会報告
2023.12.22
まちづくり条例に修正案を提案
平成26年に施行された「恵庭市まちづくり基本条例」は、自治体運営の基本理念を定めた条例です。5年を超えない期間ごとに検証を行うこととされており、本年が検証の年です。
市民の検討委員会での議論を踏まえ、改正案が提案されました。
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まちの憲法とも言われるまちづくり基本条例ですが、制定から10年が経ち、実際にその理念が浸透しているか、市民参画は進んだのかということを考えると、不十分ではないかという結論に至りました。私たちの会派として足りないところを補うような条例を作れないかと、昨年3回のワークショップを開催し、市民意見公募手続き(パブリックコメント)をおこなった上で、条例案としてまとめ、改選前の議会の中で、他の会派にも説明を行いました。
残念ながら、議会の混乱によって、条例を提案することはできないまま時が流れてしまいました。ただ、その際に議論をしてきたもので、基本条例に足りていない視点があるならば、そこは提案していくべきではないかということで、総務文教常任委員会の中で、新岡議員から修正案の提案を行いました。
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修正の内容は1点に絞りました。第12条(市民参加の推進)のところに、第2項として、次の1項を加えるものです。「市は、市民が年齢、障がいの有無、国籍等にかかわりなく市民参画の機会を得ることができるよう努めます。」
恵庭市まちづくり基本条例の定義規定からすれば、未成年者や障がい者、外国籍住民も市民に含まれており、当然に市民参画の機会は得られることになります。しかし、近年の状況を見ても、たとえば未成年者の意見が取り入れられる機会はほとんどありませんでした。また、手話言語条例ができたとはいえ、市民との意見交換会などの場面において手話通訳がつく場面は限られており、パブリックコメントなどへのルビなど、障がいのある市民に対する情報保障は十分とは言えません。近年増加の著しい外国籍の住民に対しても、条例の周知はもとより、市民参加の機会があるとはいえない状況にあります。
条例に対する修正案を提案するわけですから、まずはこうした課題に関する認識なりを問うた上で、その解決策として修正案を提示し、必要性の判断を行うべきですが、議案審議の手順が本来とは違う形になったこともあり、当初から修正案に反対のスタンスがあきらかな質疑がわずかにあっただけで、十分な議論が尽くされないまま、修正案は否決となりました。
地方自治で採用されている二元代表制という仕組みは、それぞれが住民から直接選ばれることから、長の提案に対して、議会が一丸となって、よりよい結論を見出すべく提案を重ねていくことが期待されています。まだまだ道は遠いですが、これからも地道に提案を重ねていきます。

議会報告
2023.12.21
虐待の認識はなかった?!
市内における障がい者虐待に関して、市は認識しながら、放置したのではないかとの裁判が行われています。
前回の議会では、裁判を控えていることを理由に、まったく答弁がありませんでしたが、一般質問の前日、11月28日から裁判が始まり、市の主張が明らかになりました。
私も札幌地裁に傍聴に行ったのですが、原告側弁護団からは意見陳述などがあったものの、市も含め被告側からは発言がなく、その場では市がどのような主張なのかわかりませんでした。
その後、議会事務局から、市の主張に関する連絡が全議員に入り、同じ内容が恵庭市ウェブサイトに掲載されました。
その資料によると、被告の牧場主らは、原告らの里親であって、使用者ではないということや、市は「虐待の通報」を受けておらず、原告からも虐待を受けているという申し出を受けていないので、北海道への通知義務はなかったとの主張がされています。また、訪問はしていたものの、虐待の疑いも認識していなかったので、放置していたということはないとのこと。さらには、仮に虐待があったとしても、疑いさえ抱いていないので、放置したことに故意も過失もなかったことから、責任は一切ないということです。
こちらで、原告側弁護団が訴状などの裁判資料を掲載しています。https://www.call4.jp/info.php?type=items&id=I0000124
それらによると、そもそもの発端として、「住み込みで働いている障がい者が、(中略)これからは仕事もないので、勝手にしろと言われて困っている」との記述があり、仕事がなくなるから居場所がなくなるということから考えると、恵庭市の「労働力を中心とした関係ではないから里親である」という主張にはかなり無理があるのではないかと思います。
また、市が事務局を担っていたとされる「育恵会」は、会則の中で会員資格を「知的障害者を雇用している雇主、事業所または事業団体」としており、仮に被告の牧場主が里親だったとするならば、この会は里親と里親的な事業所の会だったのでしょうか。
育恵会の解散時点では、他にも会員がいたようですが、市としては、すべての障がい者のもとを訪問はしていないそうです。今回虐待が疑われる事案があったことから、虐待を防止する意味でも生活の実態把握が必要なのではないかと問いましたが、「牧場などに住み込みでいるところはある」ことは把握しているものの、訪問したことがあるのは1件ということでした。
人権の尊重は大事だといいながらも、そもそも人権について学ぶ機会がなかったかもしれないなかで、「本人からの申し出がないから、見過ごしたとしても責任がない」という主張からは、人権擁護の考えは感じられません。
恵庭市の答弁書からは、障がい者総合支援センター「e-ふらっと」に責任を転嫁しようとしているようにも読めます。
果たして対応が十分であったのか。調査委員会の調査結果も明らかにした上で、今後の障害福祉行政、虐待防止に取り組んでいく必要があるのではないかと思います。

議会報告
2023.12.20
指定管理7施設の更新
恵庭市では、公共施設のうち、13施設で指定管理者制度を導入していますが、今年はそのうち7つの施設で更新のための公募がありました。
今回、公募が行われたのは以下の7施設で、括弧内は指定された事業者です。
①老人福祉施設5施設(ワーカーズコープ・センター事業団)〜継続
②パークゴルフ場5施設(園建)〜継続
③体育施設23施設(恵庭市スポーツ協会)〜継続
④恵み野子どもの集う場所(シダックス大新東ヒューマンサービス)〜新規
⑤都市公園、公共緑地等168施設(恵庭まちづくり協同組合)〜継続
⑥市民会館、島松公民館及び地区会館(恵庭リサーチ・ビジネスパーク)〜継続
⑦夢創館(島松夢創館倶楽部)〜継続
指定管理者の導入状況(恵庭市ウェブサイト)
https://www.city.eniwa.hokkaido.jp/kurashi/sangyo_business/shiteikanrishaseido/shiteikanrishanoboshu/12475.html
恵庭市の指定管理者制度では、制度導入時は3年、その後は5年を指定期間としている施設がほとんどで、今年度新規に制度を導入する「市営駐車場・駐輪場」では、初期投資が必要となることなどから、指定期間を10年としています。
指定管理者制度では、選定される事業者によって、施設の機能や利便性にも大きな影響があります。だからこそ、選定時にどのような提案がされたのか、それが提案通りに実施されているのかということを、毎年のモニタリングの中で検証していくことが重要です。
私たちからは、それぞれの付託委員会の中(や本会議)で、①仕様書の変更点、②管理費用参考額の変動要因、③事業者提案の特筆すべき内容などについて質疑をおこなっています。継続の事業者でも新たな提案をされているところもあり、新年度以降の取り組みにも期待が持てます。
一方、ほとんどの施設で応募事業者は1者となっており、実質的な競争性の確保も課題のひとつです。
それぞれの公共施設の使い勝手など、気になることがありましたら、ぜひお知らせください。