2015/10/17
議会議論の形骸化、ここに極まる
本日は第3回定例会の最終日で、
各常任委員会、決算特別委員会に付託されていた議案、認定案の審査結果が報告をされ、本会議での採決が行われました。
決算以外に、非常に気になった議案が1つありました。
初日に総務文教常任委員会に付託となっていた「恵庭市基金条例の一部改正」です。
これまで市が持っていたたくさんの基金の中で目的が重複するものや、使用ルールが明確でなかったものなどの使途基準を明確にすることなどが目的で、市の財産について所管をするのは財政課であるということから総務文教常任委員会に付託となったものだと思います。
しかし、今回この議案の中では、新たに設けられる廃棄物処理施設環境保全基金も含まれていました。
これは、現在計画中の焼却施設に関わって、建設予定地が農業地域であることから、環境被害や風評被害に備え、万が一の事態にはその処理を行うために設けられる基金とのことです。
こうした概要の説明は10/6に開催された総務文教常任委員会でも行われましたが、その際、説明に対する質疑はないままに議案の採決が行われ、可決すべきという委員会の結論が出されました。
翌日の10/7に厚生消防常任委員会が開催され、当然ながら廃棄物処理施設環境保全基金に関する質疑が行われましたが、備えるべき農業被害の対象などが不十分であることや平行して議論されている料金改定などと密接な関連を持つことが明らかになっただけで、審議は十分とは言えないままでした。
しかし、すでに前日の総務文教常任委員会では、基金条例の改正は可決すべきものという結論が出ています。
これを審議の形骸化と言わずして何といいましょうか。
本日の本会議では、私から委員長に対し、総務文教常任委員会で、廃棄物処理施設環境保全基金に関しても十分な議論が行われたのか、質疑がなく、どのように妥当性を判断したのかなどについて質疑を行いましたが、明確な答弁はなかったように思います。
本来ならば、再審査や再付託という手続きが取られるべきで、そうした手続きを経ない本会議での採決は著しく不当であるということで、反対の討論を行いました。
以下に討論の内容を掲載します。
なお、本会議終了後、質疑・討論の中で用いた「瑕疵」という語句について、「違法な行政行為である」という誤解を招くおそれがあるというご指摘をいただきました。私も違法な手続きであるという認識は持っておりませんので、今後のブログやチラシの中では、他の表現で記載をいたします。(なお、行政行為の瑕疵については藤田先生の「行政法入門」がオススメです)
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「恵庭市基金条例の一部改正について」 反対討論
15.10.16 柏野大介
私は、ただいま報告されました議案第5号「恵庭市基金条例の一部改正について」可決すべきものとしたとする委員長報告に反対の立場から討論を行います。
先ほどの質疑で明らかになったように、この条例の改正では、あらたに設けることとされた廃棄物処理施設環境保全基金に関して、質疑が行われることなく、委員会採決が行われ、その翌日に厚生消防常任委員会において、実質的な審議が行われました。決算委員会において、採決を行ったあとに、個別質疑を行うというようなことがあり得るでしょうか。明らかに採決が形骸化しており、審議の手続きに瑕疵があったと言わざるを得ません。しかも議会としては、会議規則の中で、再付託という手続きが定められているにも関わらず、そうした手続きが取られませんでした。今回の廃棄物処理施設環境保全基金の新設は、焼却施設の環境被害の未然防止やその処理を目的とするもので、基金の積立手法や基金額は焼却施設やごみ手数料の改定とも密接に関わるものです。
万が一の風評被害、環境被害に備える、そしてその対象となるのは市内すべての農業者とされています。60億にのぼる市内の農業生産額を考えたときに、当面のものであったとしても、1億円という基金の積立額は十分なものと言えるでしょうか。
また、その基金を施設更新で支消するとした判断は妥当でしょうか。
予算以外で個別に議会としての判断を示すことができる条例改正の議決という重みを考えたときに、今回の手続きの瑕疵はあまりにも重大です。
議員諸賢におかれましては、現時点での拙速な議決に反対をしていただけますようお願いを申し上げ、反対の討論といたします。
皆様のコメントを受け付けております。