議会報告 report

2023/12/21

虐待の認識はなかった?!

 市内における障がい者虐待に関して、市は認識しながら、放置したのではないかとの裁判が行われています。

 前回の議会では、裁判を控えていることを理由に、まったく答弁がありませんでしたが、一般質問の前日、11月28日から裁判が始まり、市の主張が明らかになりました。

私も札幌地裁に傍聴に行ったのですが、原告側弁護団からは意見陳述などがあったものの、市も含め被告側からは発言がなく、その場では市がどのような主張なのかわかりませんでした。

その後、議会事務局から、市の主張に関する連絡が全議員に入り、同じ内容が恵庭市ウェブサイトに掲載されました。

その資料によると、被告の牧場主らは、原告らの里親であって、使用者ではないということや、市は「虐待の通報」を受けておらず、原告からも虐待を受けているという申し出を受けていないので、北海道への通知義務はなかったとの主張がされています。また、訪問はしていたものの、虐待の疑いも認識していなかったので、放置していたということはないとのこと。さらには、仮に虐待があったとしても、疑いさえ抱いていないので、放置したことに故意も過失もなかったことから、責任は一切ないということです。

こちらで、原告側弁護団が訴状などの裁判資料を掲載しています。
https://www.call4.jp/info.php?type=items&id=I0000124

それらによると、そもそもの発端として、「住み込みで働いている障がい者が、(中略)これからは仕事もないので、勝手にしろと言われて困っている」との記述があり、仕事がなくなるから居場所がなくなるということから考えると、恵庭市の「労働力を中心とした関係ではないから里親である」という主張にはかなり無理があるのではないかと思います。

また、市が事務局を担っていたとされる「育恵会」は、会則の中で会員資格を「知的障害者を雇用している雇主、事業所または事業団体」としており、仮に被告の牧場主が里親だったとするならば、この会は里親と里親的な事業所の会だったのでしょうか。

育恵会の解散時点では、他にも会員がいたようですが、市としては、すべての障がい者のもとを訪問はしていないそうです。今回虐待が疑われる事案があったことから、虐待を防止する意味でも生活の実態把握が必要なのではないかと問いましたが、「牧場などに住み込みでいるところはある」ことは把握しているものの、訪問したことがあるのは1件ということでした。

人権の尊重は大事だといいながらも、そもそも人権について学ぶ機会がなかったかもしれないなかで、「本人からの申し出がないから、見過ごしたとしても責任がない」という主張からは、人権擁護の考えは感じられません。

恵庭市の答弁書からは、障がい者総合支援センター「e-ふらっと」に責任を転嫁しようとしているようにも読めます。

果たして対応が十分であったのか。調査委員会の調査結果も明らかにした上で、今後の障害福祉行政、虐待防止に取り組んでいく必要があるのではないかと思います。

皆様のコメントを受け付けております。

  1. 市の人権意識の低さに、情けなく恥ずかしく感じます。自民党市議の一人にこの件について聞いたら、[ 一部の人が昔のことをほじくり返しているだけで、たぶん市が勝つとおもいますよ。]との回答、恵庭市の変わることのない体制に市職員も忖度優先の風土があるとしたら遣り切れない気持ちです。
    何の説明もしない市の姿勢も、まるで国会の答弁に習っているようで、後ろめたいのがありありな答弁です。
    人権意識も低く、誠実さもない、嘘と指摘されない嘘を付く、そんな人を追求し正すためなら全面協力します。
    [虐待の疑いもない]と言うなら、この冬、水道もないプレハブ住宅で過ごしてからもう一度発言してほしい。

    • 裁判で市が勝訴するかどうかという点でいうと、私にも分からない部分があり、結果はわかりません。

      ただ、私が思うのは、障害を持つ方が、今住んでいる環境から出なければいけないという話を聞いて、その現場を見に行ったときに、そのプレハブなどを見た職員が、その状態を良しとしたのかということです。本人が助けを求めていなかったとしても、暖房設備がなかったならば、それは問題だと思いますし、助けを求めららなかったから問題がなかったとはならないと私は思います。

      少なくとも、虐待防止を担う市役所の事務としては、私は足りていなかったと思っています。

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