議会報告 report
2025/07/10
民間企業による市営住宅管理へ
最終日の追加議案として、市営住宅の管理を指定管理者(民間企業等)が行うことができるようにする条例改正が行われました。

指定管理者制度は、2003(平成15)年の地方自治法改正で導入された制度で、それ以前の制度では、公共団体や公共的団体などに限られていた公の施設の管理に、民間企業などが参入することが可能となりました。
収益性の高い事業などでは、民間企業のノウハウが活かされ、効果的な運営が可能となる一方で、教育的な施設や福祉的な施設では、行政内部に専門的な蓄積がされなくなることによって、公の施設の本来の目的が損なわれてしまうのではないかという心配を私は持っています。
(過去の指定管理関連記事はこちら)
2024/4/8 駐車場にも指定管理者制度導入
https://kashiwano.info/article-6294.html
2017/1/21 図書館の指定管理者はTRC(図書館流通センター)に決定
https://kashiwano.info/article-3180.html
2016/4/18 4.25 図書館の指定管理者制度を考える夕べ
https://kashiwano.info/article-2792.html
2015/11/29 図書館の指定管理者制度への移行について
https://kashiwano.info/article-2676.html

近年、市営住宅の課題としては、住民による団地の管理業務が難しくなっているということや、修繕業務の効率化などが挙げられてきました。
地方自治法は、244条の2 第3項で以下のように定めています。
3 普通地方公共団体は、公の施設の設置の目的を効果的に達成するため必要があると認めるときは、条例の定めるところにより、法人その他の団体であつて当該普通地方公共団体が指定するもの(以下本条及び第二百四十四条の四において「指定管理者」という。)に、当該公の施設の管理を行わせることができる。
公営住宅の目的は、「国民生活の安定と社会福祉の増進に寄与すること」なので、指定管理者制度を導入することが、目的の効果的な達成に必要なのかが問われることになります。
また、公営住宅については、公営住宅法の中で管理代行制度という手法も定められており、こちらでは、指定管理者よりも広範な業務を委ねることが可能となっています。
そうした中にあって、市では指定管理者制度を導入することによって、前述した課題に対応していくことを目指していますが、市営住宅は、福祉政策の中でも住居に関わる部分の重要な市民との接点です。
市営住宅については、これまで一般質問などでも何度か取り上げてきましたが、指定管理者制度に移行することによって、市民や入居者のニーズの変化を捉えられなくなることはあってはならないことです。
令和8年度からの制度導入に向けて、今後は募集要項や仕様書の策定など、具体的に事業者の募集に向けた手続きが進んでいくことになりますが、市の担うべき役割、責任がしっかりと守られるよう注視していきたいと思います。

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